先日発表された総務省の調査によると、最近の高校生のスマホ保有率はなんと【85%】、そして普段ネットにアクセスする際に最も利用する機器はスマホだという回答が【75%】もあったということです。
「平成25年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等」の公表(総務省)
平成25年6月から7月にかけて、全国24の公立・私立の高等学校等において、約3500名の1年生相当を対象にテストを実施。併せて、利用している機器やトラブル経験の有無等についてアンケートを行い、クロス集計を実施。(N=3512)
・青少年の99%がインターネット接続機器を保有
・スマートフォン保有者は昨年度(59%)から大幅に増加(84%)
・インターネットに接続する際、スマートフォンを最もよく利用する青少年が大幅増(48%→75%)出所:総務省
その一方で、最近の日経BPコンサルティングの調べによると、高校生の閲覧者も多いであろう「大学Webサイト」のスマホ対応率は意外にも低く、【48.8%】に過ぎないということも明らかになりました。
大学Webサイトの使いやすさ1位は福岡工業大学 スマートフォン対応の大学は5割、うち1割は「メニューページだけ」(日経BPコンサルティング)
スマートフォン(以下、スマホ)の画面に合わせてデザインしたページを用意している大学は48.8%だった。ただし、このうち10.4%にあたるサイトでは、トップページを含むメニューページだけがスマホに対応。新着情報や入試情報といった情報ページ(コンテンツページ)はほとんどがPC用ページのままだった。
大学サイトにはスマホからのアクセスが急増しており、大学もこれに応えるようにスマホ対応を急いでいる。
出所:日経BPコンサルティング
大学のWebサイトなどは、利用者の年代や使うシチュエーションを考えると、むしろPCよりもスマホからのアクセスの方が多くてもおかしくないのではと思います。
そこで今回は、主な大学のWebサイトをスマホで確認し、現時点でそれぞれがどんなスマホ対応をしているのか確認してみました。以下の画面キャプチャは2013年11月現在のものになります。
国内の国立大学
まず初めに、いわゆる国内最難関校である【東京大学】【京都大学】【東京工業大学】【一橋大学】をチェックしてみました。しかし残念なことに、スマホ対応ページが用意されている大学は「ゼロ」という驚くべき結果となりました。
もしかしてトップページはPC向けだけれども、どこかにスマホ対応ページへのリンクがあるのでは?と丹念に探してみましたが、上記4校ともそうしたページを見つけることはできませんでした。
またどのサイトも画像や見出しの大きさにメリハリがなく、いわゆる「ジャンプ率」の低いデザインであるため、ピンチインで拡大しようにも、何の情報がどこにあるのか見当がつきにくくなっています。
東工大は、かろうじて右上に「入試情報」「アクセス」「資料請求」などへのリンクが大きめに掲載されていますが、クリックした先は引き続きPC向けの非常に見にくいページでした。
国内の私立大学(早慶上智)
次に私立の雄、【早稲田大学】【慶応義塾大学】【上智大学】を見てみます。この中では、早稲田と上智の2校がスマホ対応ページを用意していました。
早稲田、上智とも、画面下部にスクロールに追随するメニューバーを用意しており、そこには交通アクセスやFacebookページへの案内を表示しています。またページ右上の目立つところに、はっきりとPCサイトへの切替リンクもついているため、もしPCサイトに用があった場合にも困りません。
一方で慶応は、先の国立勢と同じく、スマホ対応ページは探しても見つかりませんでした。
国内の私立大学(MARCH)
私立大学をさらに見ていきます。いわゆる「MARCH」と呼ばれる【明治大学】【青山学院大学】【立教大学】【中央大学】【法政大学】です。
明治大学は、探してもスマホ対応ページの用意はありませんでした。ただ右側に掲載したとおり、学内の情報提供用の「iMeiji」という公式アプリがあるようで、そちらの出来はなかなかよさそうです。
青山学院大学は当初PCサイトのみかと思いましたが、よくよく見てみると、ページのフッターに小さな小さな文字でスマホ対応ページへのリンクが見つかりました。ちなみに「青山学院大学」で検索した際の検索結果ページには、スマホ対応ページへのリンクが出てきておらず、せっかく用意されたこのページも、自力で辿りつく人は少ないでしょう。
立教大学は、最初からスマホ対応ページが表示されました。これはMARCH内で唯一です。
中央大学は、最初はPC向けページが表示されましたが、最上段のリンクをタップすればスマホ対応ページに切り替えができました。切り替え後は、早稲田や上智と同じような作りになっています。
法政大学は、青山学院大学と同じ対応状況となりました。最初はPC向けページが表示され、スマホ対応ページへのリンクはかなり下の方にあり、通常の検索結果にも出てきません。またPC向けサイトに戻るためのリンクはファーストビューになく、ページの一番下に設置されていました。
海外の大学
参考として、【ハーバード大学】【オックスフォード大学】【マサチューセッツ工科大学】という海外の名門大学もチェックしてみます。
ハーバードは最初からスマホ対応ページが表示されました。そして上部に見えるリンクをタップすると、右のようなまた違ったタイプのスマホ対応ページが用意されていました。
オックスフォードは、最初は非常に見にくいPC向けサイトが表示されました。スマホ対応ページへのリンクを探したところ見つかりませんでしたが、改めて「oxford mobile」と検索したところ、右のような対応ページが表示されました。
MITは、初めてアクセスした際に「おっ、もしかしたら対応している?」と思いましたが、横にスクロールできる通常のPCサイトでした。スマホ対応ページへのリンクも見つかりませんでしたが、オックスフォードと同様、「MIT mobile」で検索したところ、右のような対応ページが見つかりました。海外のスマホ対応ページは、アイコンを並べたデザインが主流なのでしょうか。
また明治大学のように、MITのアプリも提供されているようです。
PCサイトとスマホサイトは、ユーザーや利用シーンがかなり違うので注意!
今回は全ての大学をチェックしたわけではありませんが、国立と私立、日本と海外でスマホ対応の様子が少しずつ違っていることが改めて確認できました。特に上述の国立4校がスマホ対応をしていなかったり、せっかく用意したスマホ対応ページも目にすることができないケースがあったのは残念に思いました。
冒頭で取り上げたように、今や高校生や大学生は全員がスマホを持っているといっても過言ではありません。志望校を選ぶのに、受験会場で、学内で最新情報を得るために等、かなり特徴のある利用シーンが思い浮かびます。またもうすぐお正月を迎えますが、風物詩である「箱根駅伝」を見ながら集まった親戚が各大学をスマホで検索というシチュエーションもありそうです。
大学サイトのように、PCとスマホのユーザーや利用シーンはかなり異なる場合があります。スマホ対応ページを用意する際は、ただPCサイトのコンテンツを羅列するのではなく、こうした利用シーンをしっかり把握したうえでデザインしたいですね。