世界の高齢者のボランティア活動の比較
今回も前回と同じく、社会とのかかわりや生きがいについての調査結果である。今回のテーマは高齢者のボランティア活動への参加状況である。
日本の高齢者のボランティア活動は、アメリカやスウェーデンに比べると低いが、韓国やドイツに比べると活発である。
日本では「清掃などの美化活動」「地域行事・街づくり」「交通安全・防災・防犯」などの、街を良くするための地域に根差したボランティアが多い。反対に「宗教・政治活動」は非常に少なかった。
また
・趣味・特技を活かした支援
・高齢者・障がい者の世話
・趣味・スポーツ・学習の指導
・環境保全・自然保護
といったボランティアはある程度あるものの、アメリカやスウェーデンに比べると少なめである。
「高齢者・障がい者の世話」はアメリカとスウェーデンで10%超えているが、日本では4%に留まる。高齢者による高齢者の世話が増加すれば、自分たちの世代を自分たちで支える形になり、若者への負担を減らせるのではないだろうか。
日本では「関心がない」「やりたい活動がみつからない」といった理由が他国にくらべて非常に少ない。逆にいうと日本の高齢者のボランティアへの関心は高い。
しかしながら前のグラフではそれほどボランティア活動が活発であるようには見えなかった。それは参加するだけのゆとりがないからである。
グラフでは、日本は欧米に比較して「時間的・精神的ゆとりがない」「健康・体力に自信がない」の二つが高かった。関心が高いのに別の理由で妨げられているのはもったいないだろう。
■まとめ
日本の高齢者のボランティア活動は地域に根ざしたものが多く、活発さの面でも悪くはなく、また潜在的な参加意欲も高かった。しかしながらそれを妨げる要因がいくつかある。今後高齢化の進行に伴い、高齢者自身によるボランティア活動の重要性は増す。彼らがより参加しやすくなるようにしていく必要があるだろう。
■データソース
平成22年 第7回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果
調査対象者:日本、アメリカ、韓国、ドイツ、スウェーデンの5か国の60歳以上の男女個人(施設入居者を除く)