世界の高齢者の学習活動の比較
若者のみならず高齢者にとっても、学習活動に参加する方法は様々ある。例えば民間団体が行う学習活動、大学が開催する公開講座の聴講、あるいは大学への正規通学もありうるだろう。
というわけで、社会とのかかわりや生きがいについての調査結果3回目のテーマは「世界の高齢者の学習活動の比較」である。各国高齢者の学習活動にどのような違いがあるのかについてよく見ていきたい。データは同じく平成22年 第7回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果から拝借している。
 

■学習活動への参加状況

こちらは各国の学習活動への参加状況のグラフだ。スウェーデン、アメリカ、日本の順に活動の参加が活発なようだ。
日本では民間団体(カルチャーセンター等)が行う学習活動への参加が最も多い。一方でスウェーデンやアメリカでは「公的機関や大学が開催する公開講座」「公的機関が開いている高齢者専用講座」が多く、「大学・大学院への正規通学」「専門学校への正規通学」もある程度いるようで驚きである。

スウェーデン・アメリカと比較すると日本では参加状況は良くないが、この差は何だろうか?日本の高齢者は学習活動に関心が無いほうなのか、学習の場が周りに無いのか、それとも他に理由があるのだろうか。これに関しては次のグラフで考えることにする。
 

■学習活動に参加しない理由

こちらは学習活動に参加しない理由についての調査結果をグラフにしたものである。

まず日本では「関心がない」「やりたい活動がみつからない」といった回答は少なかった。これは逆に言えば、日本の高齢者は学習活動に高い関心を寄せていることを示しているだろう。また「近くに適当な場が見つからない」の項目はそれほど割合も高くなく、学習の機会が少ないという訳でもなさそうだ。

一方他の国に比べて、「時間的・精神的ゆとりがない」や「健康・体力に自信が無い」といった回答が多いようだ。スウェーデンやアメリカで「他にやりたいことがある」といった理由が多いのと比べると、日本の高齢者はやや弱々しく感じてしまう。
 

■まとめ
日本の高齢者は学習活動への関心は高いようであるが、その一方で時間や体力など様々な面でゆとりが無いため、学習活動になかなか力を入れられない現状であるようだ。これは前回のボランティア活動の場合とまったく同じである。ボランティアも学習活動も、高齢者が十分に力を活かせるよう対策することが望まれるだろう。
 

■データソース
平成22年 第7回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果
調査対象者:日本、アメリカ、韓国、ドイツ、スウェーデンの5か国の60歳以上の男女個人(施設入居者を除く)

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