本データは『平成21年度高齢者の日常生活に関する意識調査結果』の「食生活に関して気になること」の項から得たものである。調査の対象者は60歳以上の様々な属性を持つ男女である。属性別にこの結果を詳しく見ていこう。

住んでいる都市の規模別
全体的に、「栄養のバランスが取れていない」が20%と他の項目に比べて大きい。
都市規模別の結果に特徴的な点は、「近くに食料品を売る店がない」という回答が郡部(町村)で9.1%となり、他地域よりも4ポイント前後多い結果となった点である。

男女別
男女別の結果でも同様に、「栄養のバランスが取れていない」の項目が他よりも大きい。特に女性21.8%、男性15.8%となっており、6ポイントの差がついている。
全体的にみてもやはり食生活の悩みは男性より女性の方が多いようで、栄養バランス以外には、「近くに食料品を売る店がない」4.5ポイント差、「パック食品、缶、ビンなどが開けにくい」3.9ポイント差となっており、女性の体力面での悩みが感じられる。

年齢別
年齢別の場合も同様に、「栄養のバランスが取れていない」点を気にする人が全年齢にわたって多く見受けられる。しかしながら、栄養バランスを気にする人の割合は、年齢が上がるにつれて少なくなっている。
特に80歳以上の年齢階級では、栄養バランスよりも「柔らかいもの以外食べられない」「体が衰えて買い物に行きづらい」といった【体の衰えに起因する悩み】が目立ってくる。それ以外にも、「鍋を焦がすなどの、火の消し忘れ」が気になる人が多い点も興味深い。

同居形態別
単身世帯の高齢者は「栄養のバランスが取れていない」の悩みが一番多く、そのほかには「近くに食料品を売る店がない」「調理が十分にできない」という悩みが目立つ。単身世帯でなければ、全体的に悩みレベルは低く収まっている。

健康状態別
健康状態が良い人と良くない人では、悩みレベルに歴然とした差がある。特に差が大きいのは「病気のため食事制限がある」で11.6ポイント、「体が衰えて買い物に行きづらい」で8.5ポイントである。ただ、「栄養バランスがとれていない」に関しては健康状態にかかわらず、悩みレベルが同じ点は興味深い。

まとめ
高齢者が食生活に関して気になることをいくつかの切り口から観察してきたが、【栄養バランスに関する悩み】はどの属性にも多かった。それ以外で目立ったのは年齢の向上に連れて増す【体力の衰えに起因する悩み】である。栄養の偏らない調理の簡単な食材を宅配するサービスが普及し、多くの高齢者に使ってもらえるようになればよいのではないか。
また、80歳以上で多くなる「火の消し忘れ」に関する悩みのように、安全上注意を要するものがある点も気にかけていく必要がある。

■データ出典
平成21年度 高齢者の地域におけるライフスタイルに関する調査結果

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