シニアとファーストビューとスクロールの話

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先日、とあるサイトを見ていた
60歳代後半のKさんが言った。

「なんでみんなamazonにしないの?
みんながamazonだったら買いやすいのに。」

Kさんは、amazonのヘビーユーザー。
しょっちゅう購入しているようだ。

しかし、その時見ていたのは別のECサイト。
ファーストビューからKさんはスクロールせずに
「自分のほしい情報はどこにあるのか」と戸惑い、固まっていた。

Kさんのように、インターネットを毎日使っているが
新しいサイトを見て、一瞬で理解できないと使えなくなってしまう人を
私たちは永遠の初級者(別ウィンドウで開きます)と呼んでいる。

シニアはスクロールしない、の真実

先日アップした記事(実例で納得!シニアが使えないサイトの例(別ウィンドウで開きます))はおかげさまで多くの方にご覧いただきました。ありがとうございました。

(本当にありがとうございます。ほんと、嬉しいです。
コメントもいくつかいただきました。ありがとうございます。大感謝です。)

ところが、「シニア、スクロールしないんだってよ。」
というコメントをたくさんいただき、私の文章力のなさで
「スキル不足のせいでスクロールができない」という
誤解を招いてしまったような気がして、
再度、「実例」をとりあげようと思う。

シニアはスクロールができないのではない。しないだけだ。

シニア/永遠の初級者は、
慣れていないページを見るとファーストビュー内で情報を探そうとする。
だから、ファーストビューから次の動き(つまり、スクロール)をするには
若者に比べて時間がかかる。

そして、ファーストビューに情報が見つからなかったとき、
下に情報があるような気がすれば、スクロールを行い、
ほしい情報がないと思った場合には
スクロールを行わない。
合理的である。

先日の、大学の公開講座の例では、
クリック・検索後もファーストビューが同じだったために
前と同じページを見てしまった/また同じ情報しかないと考え、
スクロールせずに、再度検索をしてしまったのだ。

ファーストビューで探す、ということ。

下記のアイトラッキング(アイカメラ)動画を見ていただきたい。
(48秒ほどの動画である。)

この動画はアイトラッキング(アイカメラ)という機械を使って録画している。
特殊なモニターから出る赤外線を利用して
ユーザーがサイト上のどこを見たかが解るようになっている。
赤い線は視線の動き、
よく見たところは赤い丸が大きくなる。
(アイトラッキング動画についての詳細はこちら)

今話題の「ECサイト出店無料」のYahoo!ショッピングのサイトを
60歳代女性に見ていただいた。

彼女は、ネットはかなり使っており、
Yahoo!ショッピングでも購入したことがある方である。
(ただし、以前は、購入したい商品が
Yahoo!ショッピングにしかなかったためにそこで買ったが
普段は、amazonをメインに利用している。)

この動画からわかること
・ファーストビューで探せそうな情報を探している。
・左のカテゴリはほとんど見られていない
・殆ど写真しか見ていない
・下に情報がありそうだと思えばスクロールする
・スクロールされた場所は適当にしか見られていない

ファーストビューがとても大事で
スクロールされるかされないか、
そして、スクロール以下の注意力の低下が伝わるだろうか。

次を見たくなる仕掛けづくりが必要

例えば、知らない街の知らない駅に降りたとする。
なにも見ずにぐんぐん歩ける方もいると思うが
たいていの人は、駅周辺の地図を見るなどして
どこに何があるかを把握しようとする。

もし、あなたが、知らない土地の知らない駅で降りたのに
先ほど降りた駅と、全く変わらない周辺地図を見たら
「あれ?電車に乗ったのに、同じ駅?」と思うかもしれない。
もしくは、「同じような駅だったら、もう一駅先の駅で降りてみよう」と
思うかもしれない。
景色が変わらないなら、別の場所に行く。

それが、スクロールをしない理由。

「新しさ」「発見できそうな感じ」「目的のなにかがありそうな感じ」がなければ
人は、駅から出ない。

だから、シニアはスクロールをできないのではなく
スクロールしても、自分の必要な情報は出てこなさそうだという判断をするので
スクロールをしない。

若い人なら、「もしかしたらこの先にあるかも」と
先に進む(=スクロールする)ことを苦にもしないが
年を取ってくると
「めんどうくさいな」が先に立ってしまうため、
「スクロールする」より、「しない」という選択肢を取る。

それがそのサイトを熟知していない
フツーのユーザー。

一方、その街を良く知っている人であれば、
地図を見ずに歩くことができる。

どこに何があるかも知っているし
隣の駅との違いも分かっている。
ポストの場所も知っているし、
どんな人がどこに住んでいるかわかっている。

それが、制作者の視点。

だから、制作者は 自分と、ユーザーの間に
スクロールに対するドキドキ感と熱量に差があることを
知らなくてはいけない。

もし、ここ1か月以内にユーザーから問合せ電話があって
「それ、書いてありますよ」と思わず言ってしまいそうになったら
たぶん、ユーザーはドキドキして、スクロールできていないのだと思う。

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後記

本当は、楽天、amazonとの探しやすさの比較と
ユーザーにとっての使いやすいショッピングサイトみたいなお題にする予定だったが
急きょ変更。次回にネタを取っておこうと思っている。
(この動画の続きを使う予定)

ちなみに、Yahoo!は検索結果とページ送りの間に広告が入っているため
ページ送りに気付かれにくくなっている。
Yahoo!ショッピングと親和性の高い、初級者の行動を考えると
どうにか検索結果の1ページ目にはいらないと、購入候補にならなさそうだ。

もしかして、1ページ目を広告枠にしちゃう?みたいな
勘ぐりをして、「ああ、心が汚れちまつた・・・」と思う
秋の日でございました。

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