自分が高齢者であるという意識
千葉の某楽園にて人は現実を忘れ、老後の楽しさの中でまた人は老いを忘れる。
夢中であれば自らの老いに気づきにくい。
高齢者の意識調査に関する興味深い調査結果があった。
高齢者は自分を高齢者と意識するかどうか、についてである。
(「平成16年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」・「平成19年度 高齢者の健康に関する意識調査」)
平成16年の多少古いデータだが、大きな変化のあるようなものではないので、現在にも通用するだろう。70歳以上の位置にピークが生じており、70代に高齢者の境目を感じる人が多いと見れる。
さらに詳しい結果があった。回答者の実年齢と、回答者のもつ意識の関連についてのグラフである。
例えば、65~69歳の75%が「自分の年齢階級より上」から高齢者が始まるとの意識を持っており、75~79歳の60%は「自分の年齢階級より下」からもうすでに高齢者は始まっているという意識を持っていることが分かる。
特筆すべきは、70~74歳の階級の回答において、はっきりとした変わり目が表れていることである。70歳より下の年齢階級においては、「自分はまだ高齢者じゃない」との意識が強く表れているが、しかし70歳代の後半から、「自分はもう高齢者」という意識が強くなっている。その意識の遷移領域となるのが70~74歳つまり「70代前半」であるようだ。
また、70~74歳において「自分の年齢階級と同じ」と回答している人のピークが生じているのも、その意識の変わり目を如実に表している。
支えられるべきは何歳から?
高齢者であるとの意識があっても、「支えられるべきかどうか」はまた状況が少し異なる。つまり「高齢者意識」と「要支援意識」には若干の乖離がある。
図1において「70歳以上」に生じていたピークは、図3では右に少し移動して、「75歳以上」に生じた。また、「年齢では判断できない」の項目がぽこっとコンニチハしたのも興味深い。
また、図3との比較によって図1に注目すると、「70歳以上」への集中が大きく、「高齢者意識」に関しては人々の意識の間にばらつきが少ないということが明らかになった。
図4は、これもまた図2と同様にして回答者の年齢階級と、「要支援意識」の関連を表示したものである。図2において70~74歳の位置にあった遷移領域は、75~79歳の位置に移動した。しかしながら、図2と比較するとグラフの概形にダイナミックさが小さく、変化の明確さは少ない。「要支援意識」は「高齢者意識」に比べて、人々の間でばらつきが大きいことが確認できる。
以上の結果から考えると、「高齢者意識」については「70代前半から」という、人々のおおよその合意がありそうだ。しかし「要支援意識」については「70代後半から」が最も大きいが、グラフにばらつきも大きく「人それぞれでは」という考え方を読み取ることができるだろう。
高齢者以外の、もっと若い年齢階級にとっての意識に関しての調査結果があると興味深い結果が見れるのではないだろうか。予想であるが、若い年齢階級での意識は、「高齢者意識」「要支援意識」の双方の遷移領域は、それぞれ10歳ほど下がりそうである。
またこの70代後半からの「要支援意識」は健康問題との相関もありそうである。
ちなみに平成22年は73歳で男女ともに小厄であるので、該当する方はお身体を大事にしていただきたいと思う。
データソース
高齢社会白書平成21年版
内閣府高齢社会対策ページ
「平成16年度 高齢者の日常生活に関する意識調査」
「平成19年度 高齢者の健康に関する意識調査」