ITリテラシとIT苦手意識

「最近のシニア層はITリテラシが高いでしょ?」と聞かれる。

本ブログでも何回か取り上げたが、
いつもその質問になんと返答すればいいのか悩んでしまう。

ITリテラシとは、いったいなんだろう?

デジタルネイティブな学生さんに聞くと、
検索なんてほとんどしなくてLINEで友達と情報交換だけだったりする。

IT関係に勤めていない、ITに疎い友達に聞くと、買い物は検索はするけど
インターネットってあまり使わない(facebookと解らないことの検索だけ)とのこと。
「なんとなくインターネットって怖い」けれども、毎日使っている。

一方で「amazonで購入できます」といっただけで
「さすがITリテラシの高いシニア」といわれることもある。
シニア層がiPhoneを使っていたり、ネットで検索をすると「リテラシが高い」といわれるようだ。

いったい、ITリテラシってなんだろう?機械が使えること?検索できること?

デバイスやインターフェースが変わると混乱するシニア層は多い。
先日もiOSを頼まれてアップデートしたら勝手に画面を変えられたせいで使いづらくなった怒られた。(どうすればいいんだろう?)
それでも、「使えること」「スマホを持っている事」がITリテラシの高さに結びつくのだろうか?

デジタルネイティブな大学生たちは、既にパソコンなど使わないが、iOSがバージョンアップしてもすぐに学習し、問題なく使える。さて、これは?

リテラシって誰基準なんだろう?

Wikipedia先生に、「ITリテラシとは?」と聞いてみた。

情報を自己の目的に適合するように使用できる能力のことである。「情報活用能力」や「情報活用力」、「情報を使いこなす力」とも表現する。
ITリテラシ

「使いこなす」という、また少し抽象的な言葉がでる。

一体、ITリテラシが高いということはどういうことなのか
色々な人に、色々なパターンの例を見せて、「この例の人はITリテラシが高いと思うか、低いと思うか」判断してもらいその判断の中にITリテラシの高低を決める何かがあるのではないかと、思い、聞いてみた。

が、多くの人は、シニアには甘く、若者に冷たい。
「シニア層は買い物ができればITリテラシが高い」という人もいれば
「不労所得の情報が得られないシニア層はITリテラシが低い」(!!!!)という人もいたり
基準が全くない、ということが、よく解った。敢えて言うなら、みんな、自分はリテラシが高いと思っていて、そして基準は全部自分だった。オレルールによるITリテラシ判断!

なので、自分なりに考えることにした。
もう少し冷静に考えようと思い、ITリテラシが高い・低いと思っている人たちを20人くらい思い出し、何が高いと感じさせられるのか、低いと感じさせられるのか、高そうに見えて低い、低そうに見えて高いなど、色々なパターンを出した。
その結果、「ITリテラシ」という言葉には「IT」と「リテラシ」の要素が絡み合っているのではないか、ということに気づいた。

・機械が好きかどうか(苦手意識の有無)=IT
・好奇心の強さ、ネットの怖さを知っているかどうか=リテラシ

本来であればそれを組み合わせてITリテラシというべきところ、昨今のシニアとITリテラシという話になると、情報に接することができるだけで「ITリテラシ」と一般的に言われてしまっているような気がしてならない。

そこで、「ITリテラシ」を決める(と私が判断した)モノサシについて書き記すこととする。

ITリテラシの向上が大きくは望めない機械への苦手意識

ITリテラシの「IT」ベースには「機械への苦手意識」がある。

多分、「最近のシニア層はITリテラシが高い」=「機械が使える」につながっているのだろうが、「使える」=「好き」とは限らないということもある。
使っているけども、機械は苦手、あまり好きではないというのは
別にシニア層だけではなく、若年層もそうだ。
最近アルバイトの面接をしたが、「パソコンは使っているけど、基本的に、機械苦手なんですよね」という方がいた。
よくよく聞くと、「使っている」けども、型通り以上の使い方はしていなかった。(例えば、ソフトをダウンロードして入れるとか、カスタマイズとか。)もちろん、いろいろな設定などはしたことがない。

機械が苦手である、ということは、機械をいじってみよう、カスタマイズしてみようという気持ちがうまれない。
「壊れたら嫌だなあ」という気持ちが先に立つ。
そこで「使わない」という選択をしたり、使わなくてはいけない人は「できることしかしない」事を選ぶ。

好奇心の強さがその先の行動を変える

機械は好きではない。でも、溢れんばかりの行動力・好奇心がある。
そういう方たちは、周りを巻き込みながら、とにかく「自分のしたいこと」さえできれば十分だと思っている。

自分の興味のある部分についての情報活用能力はあるが、それ以外は「怖いからヤダ」である。
新しい機械になるとついていけない。「機械」を使いたいのではなく、知りたいことが知りたいからだ。
Blogなどを通じてアウトプットもする。でも、それ以外のことはあまり調べようとしない。
Blogに常連さん以外からの書き込みがあると「誰?怖い」と思ってしまう。

インターネットは普段から使っているが、自分が知らない世界、興味がない世界については全く興味を抱かないか、または、非常に慎重である。

ネットで買うこともあるが、慎重であるため「誰かが紹介してくれた」「大きいところっぽい(会社概要がしっかりしている)」「テレビ・新聞でやっていた」「(信頼できる機関に)教えてもらった」など、信頼を重視する。

ネットを見ているときは、心のどこかで「怖い」という気持ちがあるためか
「戻る」か「閉じる」を多用する。

好奇心が薄い場合には、インターネットが億劫になる

好奇心が薄ければ、Yahoo!のニュースを見て、それ以外調べるものがない。
テレビでやっている言葉を調べたりするが、基本好きではないので、
パソコンを開けるときは、友達や娘・息子からメールで写真を送ったと電話が来たときになる。

使うモチベーションがないと、パソコンを開けるときに時間がかかるのも、閉じるときに毎回更新されるのも、開いたら「○○をインストールして」と迫られるのも億劫に感じてしまう。

これが仕事だったら、嫌でも使わざるを得ないが、強制力がないのであれば、なるべくなら使いたくない。
定年退職をしたらパソコンの利用頻度がぐんと落ちたというのは、多分、この層だ。

ただ、友達がみんなやっているからという理由でSNS等をはじめ、はまる人もいる。
好奇心が高い層に比べて、コミュニティが狭い分、コミュニティ内では受け身であり、かつ、信じやすい。

苦手意識と概念の理解

ところで、ITを苦手意識が強い人を観察していると、概念を把握していないと思うことが多い。
例えば、「リンク」という概念がなかったり、「ページ」の概念、「画面遷移」「フォルダ」などの概念もない。どちらかというと、平面的な捉え方をしている。

概念の理解を促すと、「難しい」という一言で、考えることをやめてしまう。
それは、好きではないからなのだ。
応用なども必要なく、必要なことさえできればいい。

一念発起して、詳しくなろうと疑問を持ったとしても、
「モニターとディスプレイの違い」について気になってしまって前に進めなかったりすることもある。プリンタが「プリンター」と表記されるようになって、混乱してしまう。

概念を解ってしまえば、「そんな大したことない」と思ってしまうようなことが
概念が理解できない人には、とても難しく感じられるし
だから、益々苦手意識を持ってしまう。

イメージ的には、英語を習い始めて、最初の「Hello」を言うのに、発音を気にし過ぎてしまい、しゃべれなくなってしまったり、苦手意識を感じるようなものだと思う。

「ITリテラシ」という言葉に振り回されない!

機械に苦手意識を持つ方たちも、普段から使っているため
「シニアとしてはITリテラシが高い」と思われがちだ。

だが、実際シニア層と接していると、なんとなく使っているけど使いこなしていない、
本当はよく解らない、機械が違うと使えないというご意見を聞く。

提供者は「概念を理解していないこと」の意味が解らないので
なぜそこで躓くのか理解に苦しむことが多い。
それは、世間一般の「ITリテラシの高さ」には関係なく
「機械が根本的に好きじゃないのよ~」の世界があるのだが
提供者にはその世界を理解できないため、そこに差が生じる。

特に、「使っている=ITリテラシが高い」という提供者の思い込みによるサービス提供は、シニアの「ちょい苦手」(実際はシニアだけじゃなく、機械苦手は多い!)意識への理解を遅れさせている。

シニア向け製品・サービスを開発する際は
シニアはITリテラシが高い、その意識をまず、捨ててほしいと願う。
ちなみに、若者も、同じである。若者も、意外と機械苦手多いので
「若いから機械使えるでしょ」という思い込みも恐ろしいものなのだ。

ITリテラシという言葉はとても解釈の範囲が幅広くて難しい。
ペルソナを創るときには、安易に「ITリテラシ」という言葉を使うことは避けたい。
(次回は機械への苦手意識がない層について言及する予定)

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