画像参照:iRobot ロボット掃除機ルンバ
マミオンでは昨年、クライアント様からのご依頼で「シニア層の家電に関する訪問調査」を行い、『ルンバ』などの「ロボット掃除機」を使っている方々のお話をうかがう機会がありました。
そして先月発表された「コミュニケーションデザイン総合研究所」の調べによると、シニア世代の「欲しい家電」および「期待を上回った家電」の1位が、やはり「ロボット掃除機」だったということです。
シニア世代の「欲しい家電」、「期待を上回った家電」1位 ロボット掃除機(コミュニケーションデザイン総合研究所)
【調査方法】インターネット調査
【調査期間】2012/10/26~2012/10/30
【調査対象】50 歳~69 歳、全国、有効回答者数 497 名
【抽出条件】ロボット掃除機保有者と非保有者がほぼ同数になるよう抽出
(ロボット掃除機保有者245名、非保有者252名)
今回はこちらの調査結果をもとに、シニア層に受け入れられやすいプロダクト開発について少し考えてみたいと思います。
根強い人気の映像関連機器
こちらのグラフは、各家電の保有率を表しています。
今回の調査は、ロボット掃除機を持っている人と持っていない人が半々になるように回収を行っているため、偏りを考慮して数値は相対的に見ていきます。
この中でロボット掃除機を除くと、「ブルーレイ」「食器洗い機」「ゲーム機」が健闘しているように感じました。
「ブルーレイ」については、シニア層が「映像コンテンツ」を好む傾向をよく反映していると思います。パソコン教室でインターネットの使い方を学ぶ際も、YouTubeや動画付きニュースなどのウケが非常によいのです。
また調査でシニア層のお宅へ訪問すると、リビングに置いてあるテレビがかなり大きめのことが多いです。大きな画面で綺麗な映像を鑑賞するという余暇の過ごし方の人気は、まだまだ根強いようです。
「食器洗い機」は、ロボット掃除機と同様、これまでの家事負担をガラッと変えてくれるアイテムです。ここのところ低価格化や小型化が進み、シニア世代の小さな家族でも受け入れられやすい環境が整ってきたのかもしれません。
「ゲーム機」については、おそらくWiiスポーツやWiiFitなどの、シニア層でも遊びやすいソフトのおかげで普及が進んできたのではと考えられます。
またシニア層に人気の高い家電の1つというイメージの強い「マッサージ家電」は、ロボット掃除機よりも低い結果となっています。
異次元の支持を集める「ロボット掃除機」
こちらのグラフは、以下の割合を示しています。
・赤⇒持っていない家電製品のうち欲しいと思うもの
・緑⇒持っている家電製品のうち、期待を上回ったと思うもの
ご覧のとおり、「ロボット掃除機」の評判が突出して高いことがわかります。もともと持っていない人からの人気も高いのですが、購入者の評価はそれをも大幅に上回っています。
他に「タブレット端末」や「スマートフォン」も、購入者の評価が10ポイント以上高くなっており、今後もその評判をベースに普及スピードが高まるのではないかと予想できます。
一方で「マッサージ器」などは、欲しいと思っていた割に使ってみるとこんなものかという印象があるのでしょうか。前項の保有率が伸び悩んでいる理由がこのあたりなのかもしれません。
下の画像は、非購入者の購買意欲と購入者の評価を散布図としてプロットしたものです。
点数に隔たりがある部分で、かなりはっきりとした分類ができました。その中でもロボット掃除機は異次元の強さを見せています。
「シニア向け」より「シニア受け」
シニア層に、ここまでロボット掃除機が支持される理由は一体何でしょうか?
定性コメントからいくつか抜粋してみます。
【身体的、肉体的負担の軽減】
・重い掃除機を持ち部屋掃除しなくて済むようになった(50 代女性)
・腰痛持ちなので掃除機をかける事は苦痛だったので解放された(50 代女性)
・疲れていて掃除をしたくない時にやってくれる(60 代女性)【簡単な操作】
・誰でもスイッチ一つで掃除が出来るから(60 代男性)【生活のパートナー】
・お掃除は苦でしたが、ルンバが来てから楽しくなりました(50 代女性)
・猫や犬と同じペット感覚で、可愛がっている。ロボット掃除機を通して、夫婦の会話が増えた(60 代女性)
昨年、マミオンで直接訪問調査をさせていただいた際も、同様の意見を集めることができました。特に足や腰を悪くしている方にとっては、とても助かっているようです。
またスイッチを押すだけで使えることも、支持が高い理由の一つです。掃除機の機種によってはスケジュール機能がついているタイプもありますが、多少複雑なセッティングが必要なため、あまりそれは活用されていないようでした。
ロボット掃除機はそもそもシニア向けに作られた商品というわけではありませんが、こうして見るとその特性によくフィットしており、人気が出るのも当然だなと感じます。
最近で言うと、同じことがiPad等のタブレット端末にも言えます。こちらも特にシニア向けに作られたわけではありませんが、今パソコン教室には「iPadを習いたい」というシニアが大勢訪れています。
シニアビジネスをお考えの方は、ぜひこうした「『シニア向け』より『シニア受け』」の視点を取り入れてみるとよいのではないでしょうか?
マミオンではシニア層のご自宅への訪問調査なども行っています。その他シニアマーケティング調査と合わせてご検討ください。