日本と世界の高齢者の比較 社会とのかかわりや生きがいに関して(1)

日本と世界の高齢者の間ではどのような違いがあるのだろうか?他の国の様子と比較することで、新たに日本の高齢者の様子が浮かび上がってくるはずだ。今回はまず、社会とのかかわりや生きがいに関して見てみよう。特に人間関係に焦点を当てている。
 

■同郷の家族以外に頼れる人

このグラフは「同居の家族以外に頼れる人が居るかどうか」に関しての回答結果である。「別居の家族・親族」が頼れると回答した割合はどの国でも60~70%と高い値になっている。欧米勢と異なり、「友人」と回答した割合は日本では低い。また欧米と比較して「いない」という回答が高い。韓国も日本と似たような結果となっている。
 

■親しい友人の有無

日本と韓国は同性の友人が多い。一方で、欧米では同性や異性に関わらず親しい友人が多い傾向がある。特にヨーロッパの人たちは、同性の友人がいると回答した人よりも、同性と異性両方いると回答した人の方が多かった。
 

■近所の人たちとの交流・付き合い方

このグラフは、近所の人たちとの交流がどの程度あるのかを比較したものである。日本は他の国に比べて近所の人たちとの交流は少なめである。「ほとんど毎日」交流があると答えた人は23%と最も低く、「ほとんどない」と回答した人は30%に達し最も高かった。
 


こちらは近所の人たちとの付き合い方に関しての調査結果である。日本と外国を比較してみることで、日本の高齢者像が浮き上がってくる。

例えば日本は他に比べ「物をあげたりもらったりする」の回答率が高い。日常的に「おすそ分け」ということが行われているからだろう。

近所の人と「外でちょっと立ち話をする程度」との回答は比較的高く、また「お茶や食事を一緒にする」「趣味を共にする」は低めとはいえ、欧米勢とそれほど差は無い。前のグラフと合わせて考えると、交流の頻度こそは低いものの、近隣と良い関係が築けている様子が分かる。
また「病気の時に助けてもらう」「家事やちょっとした用事をしてもらったりする」「相談したりされたりする」といった項目を合わせた部分が欧米よりも低く、あまり近隣の人には頼らない・迷惑はかけまいとする意識が強く働いているように感じられた。
総合的に考えてみると、日本の高齢者にとって近所の人は、友人というよりは仲の良い知人というポジションにあるといえそうだ。
 

■データソース
平成22年 第7回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果
調査対象者:日本、アメリカ、韓国、ドイツ、スウェーデンの5か国の60歳以上の男女個人(施設入居者を除く)

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