今回のデータは「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」より、「住宅や住環境に関する優先度」についてである。調査の対象者は60歳以上の男女である。
調査のアンケート項目を【住居自体】【周辺環境】【人のつながり,それ以外】の3つに分類し直し、年齢階級別のグラフにまとめている。
最初のグラフは【住居自体】に関する回答結果である。グラフの折れ線はそれぞれ、優先したい項目を表し、横軸は回答者の年齢になっている。
まず「高齢者向けの設計である」という回答が特徴的な動きを示していることに気づく。75~79歳で一時的に優先度が他の年齢と比べて大きく上昇し、それ以降の年齢では再び落ち着いている。また、他の項目は年齢と共に優先度が大きく低下する一方で、この「高齢者向けの設計である」ことは85歳以上になっても回答率が35%を割らず、コンスタントな人気を見せている。
以前こちらの記事で高齢者意識の芽生えについて調査したことがある。その図2のグラフによると、65~69歳において自分を高齢者と自覚している人は約20%(赤線・青線の合計)にとどまっている一方、70~74歳では60%と急激に上昇し、75~79歳では80%に達していた。この70代での急激な自覚の高まりは、高齢者向け設計の人気の一時的な過熱に関係があるのではないだろうか?
【周辺環境】に関する項目
足腰が弱まる高齢者にとって「移動や買い物に便利」な環境は住環境を選ぶ点で非常に重要な点であろう。事実、70代までは周辺環境に関する回答で優先度が最も高い。しかしながらそれは80代で大きく低下する。
一方で、医療介護サービスへの要求はどの年齢でも30%前後とコンスタントな人気がある。これは85歳以上になってもあまり減少しない。住宅や住環境は長く付き合うものであるから、このようなコンスタントに人気の高い条件は重要である。
【人とのつながり,それ以外】に関する項目
【人とのつながり】に関しては「子や孫と一緒にあるいは近くに住める」「親しい知人友人が近くに住んでいる」はどの年齢でも優先度に大きな違いはない。ただし85歳以上になると10%弱低下する。また年齢の上昇とともに「特にない」が多くなっていく様子もわかる。
データ出典
平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果