ハコからコミュニティへ。『スマートコミュニティ稲毛』を見学してきました

ハコからコミュニティへ。『スマートコミュニティ稲毛』を見学してきました

マミオンが運営するパソコン教室パソカレッジでは、企業やコミュニティ向けの各種出張研修を行っています。

今回、縁あって日本初の大型アクティブシニアタウンと言われる『スマートコミュニティ稲毛』で、入居者様向けの「タブレット教室」の運営を、近隣のフランチャイズオーナー様が担当することになりました。


画像参照:スマートコミュニティ稲毛

この『スマートコミュニティ稲毛』ですが、以前の記事でご紹介した『ダイシン百貨店』と同様、各種メディアやネット記事にもよく取り上げられており、シニアビジネス界隈ではかなり名の通った施設です。

スマートコミュニティ稲毛(三井不動産のケアデザイン)
スマートコミュニティ稲毛(ユルレポ)
日本初のアクティブシニア・コミュニティ(マンション・ラボ)

 

この施設の大きな特徴の一つは、今回のタブレット講座に代表されるように、入居者向けの「コミュニティ運営」に非常に力を入れているということ。

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今回、開催中のタブレット講座の見学という体で現地を訪れる機会がありましたので、施設見学の様子やコミュニティ運営に関する社員の方のお話、現場に足を踏み入れて感じたことなどを合わせてレポートしたいと思います。

 

ホテルのようなクラブハウス!充実のハード面

施設は、千葉県のJR稲毛駅からバスで20分ほどのところにあります。

『スマートコミュニティ稲毛』は、大きく分けると住居棟である「スマートヴィレッジ稲毛」と「クラブハウス/グラウンド」からなり、今回は後者の方にお邪魔させていただきました。

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中に入ると…とっても広い!総床面積はおよそ3万㎡だそうです。しかも入り口ホールから、奥のダンスフロアまでまっすぐ見通せるので、かなり開放感があります。イオンのショッピングモールに近い感じでしょうか。

ロビー近くに並んだビリヤード台では、平日昼間からお友達と一緒にプレイしているマダムのグループを見かけました。調度品も落ち着いた作りになっていて、まるで箱根あたりのクラシックなホテルにいるかのような雰囲気です。

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施設がとても広い分、人口密度はかなり低く、歩き回って探さないと入居者の方がなかなか見つかりません…。

クラブハウス内には下のような隠れ家的なスペースがたくさんあり、入居者は一人でもサークルでも自由に使うことができるようです。他にアトリエや音楽室なども用意されていました。

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こちらの絵は、入居者の方がアクティビティ(※後述)で描かれたもののようです。結構本格的ですね。

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1階には、毎日の朝夕食が食べられる「なだ万」ダイニングがあるのですが、現在はさらに2階部分に下のようなオープンテラスのカフェレストランができていました。

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いやぁ、『桃源郷』ってこんなところにあったんですね…。

ちなみに、常駐しているスタッフの方々の対応もとてもフレンドリーで素敵でした。あいさつはもちろん、入居者の方をできるだけ名前で呼ぶようにしているそうで、ホテルとはまた一味違う心地よいおもてなしが感じられます。

またダイニング付近には、最近新しく入居された方の「自己紹介コーナー」も用意されていました。施設内で早く知り合いを作ってほしいというスタッフの心配りが感じられますね。

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アクティブシニアは「新しもの好き」?

今回、館内をご案内いただいたのは、運営会社社員でアクティビティ企画担当のK様。以前はホテルに長く勤められていたそうで、ものごし柔らかな方でした。

コミュニティの活動を大きく分けると、スマートコミュニティ稲毛が主催する「アクティビティ」が40-50個、入居者が自ら立ち上げることができる「サークル」が30個ほどあるそうです。

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現在、アクティビティは月に1つペースで増加中。K様によると、企画の際にはとにかく「新しいもの・楽しめるものを」ということを意識しているとのこと。また入居者からの「やりたいこと」リクエストも多いそうで、訪問するご家族などから流行りの情報を仕入れているのかもしれませんね。

こちらの施設に入居されている方は、その多くが「アクティブシニア」と呼ばれる活動的な方々ですが、先のような状況を聞くと「新しいもの」への抵抗感が本当に低いんだなぁと改めて感じます。

一方で、「今さら新しいことを始めるなんて面倒だ」というスタンスのシニアも一般にはかなり多く存在するため、こうした「新しいものへの受容性、抵抗感」は、ビジネスを考える際にはしっかりと把握しておく必要がありますね。

 

また入居したばかりで知り合いがいない方に対しては、何でもよいのでまずは一つでもアクティビティに参加してみては、と熱心におすすめをしているそうです。このあたりからも、スタッフのコミュニティ運営への力の入れ具合が伝わってきます。

ちなみに、アクティビティが長く存続できるかどうかは、やはり「先生の良し悪し」によるところが大きいとのこと。受講料がかからない分、先生との相性が悪いと思ったら簡単に辞めることができてしまうことも影響していそうです。

 

アクティビティの「はしご」は当たり前!

今回開催させていただいている「タブレット講座」は、定員5名のところに15名の応募があるほど人気講座になっているそうです。

当日参加されていた生徒さんの年代は50代から70代と幅広く、また端から見ていた限りでは、ITリテラシにもかなりのバラつきがあるようでした。文字入力が思うようにできない方もいれば、要領よくサクサクと理解していく方もいるので、講師やスタッフは進行が大変そうでしたね…。

生徒さんの半分ほどは、スポーツウェアを着たまま参加されていました。タブレット講座の直前まで、別の運動系アクティビティに参加していたんですね。アクティビティの「はしご」が思う存分できるのも、この施設の特徴の一つです。

講座の様子は、こちらの記事でも写真付きで紹介されています。

タブレットを使ってシニアのマンションライフをスマートに!便利に!(マンション・ラボ)


画像参照:マンション・ラボ

ちなみに先のK様にうかがったところ、入居者の方々のITスキルは全体としてそれほど高くはないとのこと。元経営者やお医者さんなどが多いそうですが、「リア充シニアほどITを使わない」という面が垣間見えます。

 

「ハコ」ではなく「コミュニティ」を売る

今回『スマートコミュニティ稲毛』を訪問して感じたのは、素敵な「ハード面」に加え、「ソフト面」の充実が非常に頼もしいということです。正直、訪問の前後でイメージがガラッと変えられました。

アクティビティを通して興味関心の近い人同士が繋がれる、繋がった人たちと一緒に自由に食事をとることができる、スタッフは気持ちよく程よい距離感でサポートしてくれる、等々。

 

村田アソシエイツの村田氏も指摘していることですが、私たちが老後の生活を真剣に考えたとき、健康やお金の心配に加えて、「孤独不安」は問題の大きなウェイトを占めています。

「仕事」と「消費」で高齢者は社会参加へ(村田裕之の団塊・シニアビジネス・高齢社会の未来が学べるブログ)

個人レベルの問題は、各々の個人によって異なるが、健康不安、経済不安、孤独不安が多くの場合、共通の問題となっている。

(中略)

孤独不安は「いきがい不安」とも言える。とりわけ定年退職後に社会との接点が少なくなり、自宅に引きこもり気味となり社会的孤立状態になりやすくなる。これが認知症や運動不足による筋肉の衰え(廃用性症候群)や、ひざなどの関節障害を引き起こしやすくして、健康状態を悪化させる。

出所:村田裕之の団塊・シニアビジネス・高齢社会の未来が学べるブログ

こうした「孤独不安」に対して、積極的に入居者同士のコミュニティを構築していこう、サポートしていこうという『スマートコミュニティ稲毛』のソフト面の環境は、非常にマッチしています。

 

機能的に優れたハコ(ハード)を提供するだけではなく、そのコミュニティ(ソフト)まで責任を持って提供していく。

こうしたスタンスは、今後、他のシニアビジネスにおいても積極的に意識すべき部分だと改めて感じています。