【シニアビジネス事例】クラブツーリズム

シニアビジネスのケーススタディ
先日、クラブツーリズム様のお話を伺う機会に恵まれた。
クラブツーリズムと言えば、攻略が難しいと言われるシニアマーケットでの
成功事例として有名である。

今回は、そのお話を参考にし、クラブツーリズムがどのように
シニアマーケットに受け入れられたのかを考えてみる。

現状

まずは、旅行業界とシニア層の現状について考えていく。

旅行業界

旅行業界は総じて利益率が低く、お互いが利益を削って安売り合戦になりがちである。
だからこそ、利益をきちんと確保するためにも、お客様に対して
高付加価値のツアーを提案する必要がある。
お客様にとっての価値とは、
「体験する事の楽しさ」「知的欲求を満たす事」と定義している。
(会社によって、「高付加価値」の指標は違う)

シニア

シニア層にとって、旅行は「したいアクティビティNo.1」である。
お金にも時間にも余裕があると言われるが、1年中旅ができるわけではない。
(1年のうち旅に出られるのは多くても30日前後である。)
資金的にも余裕はあるが、”完璧に余裕”ではなく、
旅は「特別」であることは若者と変わらない。

色々な所に出掛けられる体力があるのは大体74歳までであり、
74歳を過ぎると気力、体力ともに落ちてしまう傾向がある。

つまり、資産がそこそこある74歳くらいまでのシニアが
メインターゲットとなる。

さらに、都会のシニア層は色々な所に行っている事が多く、
通常の旅行であれば、「価値」にはならない。
彼らは「ただ行くこと」から「何か面白いことに出会えること」への
欲求が高まっている。

しかし、自らは自分を満足させるような企画を立てることはできない。

クラブツーリズムの特徴

クラブツーリズムの最大の特徴は「テーマ」別のツアーを提供していることにある。
ツアー別、というのは、例えば
ウォーキング、霊場めぐり、仏像めぐり、三大○○めぐり、健康づくり
など、「行く」ことが目的ではなく、「そのテーマを体験する」
また、そのテーマに合わせてセミナーを行うこともある

クラブツーリズムの5つのポイント

・シニア向けとは謳っていない
・青春時代の引張(サークル単位という行動)
・ゲーム要素(達成感、コンプリート感、仲間)
・定期的なコンタクト(興味の持続)ファンづくり/顧客との関係性を意識
・顧客を絞る

シニア向けとは謳っていない

割合は少ないが、若い顧客もいる。
ただ、雰囲気からシニア層中心ということが解る。
「中高年・高齢者のための」をメインに出さずに
雰囲気で中高年中心というのが伝わるようにしている。

青春時代の引張(サークル単位という行動)

何かを体験するというのは、どの年代でも楽しいもの。
特に、サークル的に、何かを「みんなで」達成する楽しさがある。
昔楽しかったことは、大人になっても楽しい。
多分、サークル的な要素が昔を思い出して楽しさを倍増させるのではないか。

ゲーム要素(達成感、コンプリート感、仲間)

100名山なら全部登ってみたくなる、
今回はこのコンサートにいったので次回はこれに行ってみたいなど
段階を作ってコンプリート欲求を呼び起こすテーマを設定している。

ここに、「旅」のゲーム要素を感じる。

もちろん、永遠の初心者コースでもいいが
細かく段階を作ることで、たくさんの人が上級に挑戦できる体制を整えているので
リピーターがつきやすい。

そこでできる仲間も、同じ目標・目的を持った仲間なので
お互いに励ましやすく、同士になりやすい。

また、添乗員さんやDMを配布する方はお客様出身であるという。
はまる人は、どんどんはまっていってしまう。
より高み(?)にいくこと、
所属団体(?)の役に立ちたいという欲が生まれる点でも
ゲームに似ているモノを感じた。

この「ゲーム要素」をふんだんに持っている点が、
クラブツーリズムの最大の特徴と考える。

定期的なコンタクト(興味の持続)ファンづくり/顧客との関係性を意識

「年間30日も旅行に行く人は少ない」ので、
企業とユーザーの接点は決して多くない。

しかし、接点がないと忘れられてしまう。
そのためには、常に思い出してもらいやすい仕組みが必要なのだ。

その仕組みがDMなどの定期的なコンタクトである。
そのDMが面白いものであり、「次が楽しみ」と思えるような内容であることは当然である。
(クイズがあったり、モニターがあったりと、お得感溢れる冊子である)

その他、低価格な日帰りツアーやセミナーを設けることで
顧客との接点を増やすようにし、興味を持ち続けてもらう仕組みを作っている。

顧客を絞る

私も時折「はとバス」でツアーに行くが、
クラブツーリズムの添乗員さんは、はとバスに比べて年齢層が高いと感じる。
(前述の通り、お客様出身の方が多いためだ)

はとバスの添乗員さんが乗客と一線を引いてるのに比べて、
クラブツーリズムの添乗員さんは、乗客と一緒にくつろぎスペースにいたり、
バッチをつけてなければ正直添乗員さんだと解らない気がする。

その「近さ」が参加顧客に安心感を与えるのだろう。

安心感は、全ての人に与えるわけではない。
それを「安心感と感じる人」とのみ、共有できるのだ。

だから、誰に対しても平均的なサービスというよりは、
それを喜ぶ人を絞り、提供し、一緒に楽しむことができる。
そして、コミュニティをぐんぐん育てていくことができる。

そのような内容をすべてのシニア層が好むとは思わないが、
好む一定の層がいる。めちゃくちゃファンになる一定層がいる。

中高年層は元々パイが大きいので、
ニッチな層をターゲットにしたとしても、市場としては十分なのである。

その他お得を感じさせる仕掛け

帰りにタイアップ企業の製品を配り、
ツアーにその商品の値段が含まれているようなお得感を感じさせるなど
顧客がちょっと嬉しい、くすぐられる、というのを実現している。

ウェブサイト

お話しの中でウェブのことが一切出てこなかったので、
ウェブは捨てているように感じられた。

しかし、ウェブを見ると、シニア層にとっては使いづらいサイトになっており、
こんなに愛されサービスをしているのにもったいないと思う。

例)
・サイト、WEBなど文言が統一されていない
・トップページからリンクした時に上部が変わらないため、ページが変わったことに気付きにくい
・テーマ別が売りなのにテーマで探すのが大変
・使われるであろう「コース番号検索」が探しにくい
・ページ内リンクが多用されているため、不慣れな人には迷いやすい

などである。是非とも、弊社のユーザーテストを受けていただきたい。(ちゃっかり宣伝)

まとめ

子どもの頃、楽しかったことは、大人になっても楽しい。
それは、私の持論でもある。
なので、弊社もなにかイベントをするときは「童心」を意識して行うようにしている。

今回のお話を伺って
クラブツーリズム社は、その「童心」を思い切りしているような気がした。

今でもゲーム性・ゲーム要素は話題になっているが、
これからのシニアマーケットに提供する仕掛けには、ゲーム要素がとても重要なのだと思う。