「介護情報サイト」はその扱う商材から、シニア層の利用を想定したデザインやユーザビリティへの配慮が求めらるジャンルの一つです。
各社、そのあたりを意識したサイトデザインを実装していますが、よいところ、悪いところ両方が散見される状態です。
そこで今回から複数回に分けて、主要な介護情報サイトのいくつかについて、普段からシニア層のインターネット利用を観察している立場から、項目毎のレビューをゆるゆると行っていきたいと思います。
まず初回は、「印刷」のしやすさについて見て行きましょう。
主要サイトのファーストビューをチェック!
HOME'S介護(Link)
画面右上に、テキストリンク+アイコンで用意されています。位置としては標準的で悪くなく、またアイコンを添えたことでアイキャッチの効果も出ています。
ただし、リンクが「このページを印刷」と「この施設の全情報を印刷」と2つに分かれているのが残念です。多くのユーザーはそこまで考えて印刷しませんし、左側をクリックして肝心な情報が出てこなかった場合にはトラブルを招いてしまう恐れがあります。
みんなの介護(Link)
まさかの、印刷リンクなしです。ブラウザの印刷機能に任せようという意図だとは思いますが、印刷できることを知らない、もしくは知っていても手順を覚えていないユーザーはたくさんいますので、ちょっと不親切に感じます。
探しっくす(Link)
右上にボタン型のリンクが設置されています。シニア層の方で、特にパソコンに慣れていない場合はマウスの操作がおぼつかない場合があるので、クリック領域が大きい方が安心です。また隣の資料請求ボタンが目立つので、発見しやすいと思います。
少し残念なのは、ボタンのすぐ上のメニュー項目の上にマウスカーソルが近づくと、ドロップダウン項目が出てきてボタンが隠れてしまうことです。シニア層がよく使うサイトでは、動的なUIはできるだけ避けた方がよいでしょう。
オアシスナビ(Link)
画面の下ギリギリのところに、テキストリンクが用意されています。シニア層の方は少し前の世代の解像度の低いパソコンを使っていたり、文字を大きくするためにブラウザの表示を拡大している方もいらっしゃいます。こうした場合、この印刷リンクはファーストビューから外れてしまうでしょう。
ちなみにこの印刷リンクを押すと、印刷用レイアウトが現れます。しかしそちらには写真がほとんど掲載されておらず、施設の区別がつきにくくなってしまう印象です。
「お気に入り」より「印刷」重視!
『HOME'S介護』『みんなの介護』『オアシスナビ』には、「お気に入り」というブックマーク的な機能も用意されています。
しかしシニア層のユーザーは、一般的に気になる情報があれば小まめに印刷する傾向が高いです。常にパソコンの電源が入っているわけではないので、いつでも手元で見直せるように、また家族で回覧することができるように、印刷の比重が高まるのです。
また必ずしもカラー印刷されるわけではないので、白黒印刷をしても写真や地図がちゃんと見やすく表示されるか、一度チェックした方がよいでしょう。さらに背景が濃いと、テキストも読みにくくなってしまう場合もあります。
印刷についてのポイント:
・ファーストビュー内(できれば右上)に常にリンクが見えているか?
・ボタンなどの大きめのクリック領域が確保されているか?
・白黒印刷しても、内容が確認できるか?(写真や地図、背景処理など)
また、印刷以外の配慮すべきポイントについては、こちらのガイドライン冊子も参考になるかと思います。20ページ分の立ち読みや、すぐ手に入るPDF版も販売していますのでぜひご覧ください。