とあるショッピングサイトの掲示板に見た「使いやすさの原点」について

とあるショッピングサイトの掲示板に見た「使いやすさの原点」について

BBS(ビービーエス)、またの名を掲示板。

 

今となっては少しノスタルジックな響きを持った言葉ですが、先日、とあるお店のサイトに設置されていた掲示板を見かけて驚いたとともに、ユーザビリティについて考える機会があったのでご紹介したいと思います。

 

掲示板上でやりとりされる注文情報…

問題の掲示板は、こちらの「しょうゆ販売店」のサイトに設置されたものです。
書き込みの途中に、商品の注文情報が書かれているのが見つかりますか?


(個人情報がそのまま書かれているので、ボカシ入り画像のみでのご紹介です。)

 

これを初めて見たとき、2つの意味で衝撃を受けました。

1つ目は、ここを注文フォームと間違えて書き込みをしてしまう人が存在するということ。

2つ目は、この方法、結構いいんじゃない?ということです。

 

セキュリティ上はマズいけど…

一般公開されている掲示板に注文情報を書いてしまうというのは、普段からインターネットを使っている人には信じられない行動かもしれません。

このあたり、ちょうど今年の初頭に多くのアクセスを集めた、シニア層のネットショッピングの様子を書いた記事のことを思い出しました。

【参考記事】
シニア層のネットショッピング観察記録 | マミオン有限会社

シニア層、インターネット初心者にとっては、公開/非公開という線を引くのが難しいんですね。そんな状態で掲示板に来て、誰かが注文情報を書き込んでいるのを見たら、「あ、ここで書けばいいのか」と真似してしまうのも無理はありません…。

 

セキュリティ的には非常にマズいこの方法ですが、一方で、こういったネットに不慣れな方でも注文ができてしまっていることは、注目すべき現象でもあります。

 

一般的な入力フォームの問題点とは?

皆さんよくご存知の、一般的な入力フォームの例がこちらです。

こちらは、項目ごとにデータの型や長さが決められており、それらを順番に入力していかなければなりません。場合によっては1つの項目内でも、複数のフォームに分けて入力を迫られるということも(例:都道府県と住所、電話番号など)。

 

入力されたデータを、データベースに格納しやすくするためにこういった形になったのだろうと思いますが、これはよくよく考えると、人間の方が機械の都合に合わせて相当譲歩していますよね。

注文する方からしたら、なんでそこまで気を遣って合わせなきゃならんのだ、となるわけです。細かく分かれた四角をキーボードとマウスを行ったり来たりしながらちまちまとクリックして、半角全角を気にして、都道府県まではプルダウンなのにそれ以後は手入力で、住所の番地間に入れる横棒はどれだと探しまわったりして…。

 

そしてこうした細々フォームは、各サイトによって項目の順番やフォームの割り付け方がバラバラなので、毎回確認しながら入力する必要があります。

 

こうしたとき、前述の掲示板で交わされていたやりとりは、問題解決のヒントになるのではないでしょうか?

 

『まるごとフォーム』の可能性と課題

項目ごとに分かれていない、まるでメール本文を書くためにあるような広々としたフォーム、ここではこれを便宜的に『まるごとフォーム』と呼ぶことにしましょう。

以下は、サイトでの注文を『まるごとフォーム』にしてみたイメージです。

ちなみに、これなら「メール注文」でも同じだという声もあるかと思いますが、シニア層の中にはメールアドレスを持っていない、またはメーラーの使い方がわからないという方も多くいますので、あくまでサイト内で完結する方法をとっています。

 

まるごとフォームを採用することにより、以下のメリットが期待できます。

・いちいちフォーム間を移動する手間がない
・データの型に制限がなく、エラーになりにくい
・ページが長くなりづらく、確認がしやすい
・余計なデザイン要素がないので、メンテナンスしやすい

またこの方法は、シニア層ではないユーザーにもメリットがあります。それは「コピペ一発で入力が終わる」可能性が出てくるということです。私はYahooオークションをたまに利用しているのですが、相手とのやりとりは非公開の専用掲示板への投稿になっているので、住所のやりとり時にはあらかじめ用意しておいたテンプレート文をペタッと貼るだけで済んでしまいます。

 

一方、『まるごとフォーム』を採用する上での問題は、当然これをどうやってデータベースに格納するか?エラーをチェックするか?です。

平文からデータベースへの登録は、外注すれば多少のコストがかかってしまいますが、通常フォームと初心者用『まるごとフォーム』を選択できるようにしたり、初回注文のみに絞るなどすれば、コストの圧縮も可能です。

またスマートフォンの音声オペレーションシステム『Siri』に代表されるように、平文からの自動データベース登録のハードルも徐々に下がってきています。

 

「人が合わせる」から、「機械が合わせる」へ

マミオンにユーザビリティのご相談をいただくショッピングサイトの方々からは、ネットから注文できなかった人からコールセンターにたくさんの電話がかかってくるというお話をよくうかがいます。

いつまでも電話注文が支持される理由のひとつは、結局相手が自分に合わせてくれるからなんですね。

 

「人が合わせる」から、「機械が合わせる」システムへ。

 

今回の衝撃の掲示板を目にして、「必要そうな情報をザッと書いておくから、あとはよろしく!」というファジーな注文方法が、これからは増えていってもいいのではないかと感じました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です