シニア向けテキストから学ぶ「ユーザーを迷わせない」方法

シニア向けテキストから学ぶ「ユーザーを迷わせない」方法

先日、教室に来る生徒さんにおすすめできるような市販テキストを探しに、
本屋さんをブラブラとする機会がありました。

いろいろな出版社から同じようなテキストが発売されていますが、
一つの典型的な中身が、こんな感じです。


画像参照:Amazon.co.jp: すぐにできる! OS X Lion: 野沢 直樹: 本

なんだかどれも、説明がごちゃごちゃしているし、字は小さいし、この本にいたっては、全部で336ページあって分厚いんです。

結局、何も買わずに帰ってきてしまいました。

 

「空白」を合わせて売るテキスト


ちなみに、マミオンが運営するパソコン教室でも、シニア・初心者向けのオリジナルテキストを作成・販売しています。

1章1冊で、およそ30ページ。「ワード初級」などというコースごとに、6-8章程度で構成されています。

すべて、スタッフがWordで編集した手作りのテキストです。




パソコンの詳しい方からすると、驚かれるかもしれません。
「こんなに薄いの!?」「こんなに空白が多くてスカスカなの!?」と。

でも、市販のテキストが難しくて挫折した方などは、
「このテキストはわかりやすい!」「これなら私もできそう!」と言ってくださいます。

 

もちろんマミオンのテキストは、現場で培ったわかりやすい表現や文字の大きさ、行間などを考慮して作っていますが、市販のものとの大きな違いのひとつは、「情報の密度とレイアウト」にあると考えています。

ちなみに、販売価格を考慮すると、情報量あたりの単価はオリジナルの方が何倍も上になります。良い意味で、「空白」を合わせて売るテキストと言えるのかもしれません。

 

どういう順序で読めばよいか?

1ページの中に多くの情報が載っていると、一見、お得なように思えます。しかし実際にそれを使って学習しようとしている人にとっては、どこから見始めるべきか、どういう順序で読み進めればよいのかわからず、余計なストレスを感じさせてしまいます。

こちらは、前述の市販テキストを使うときの視線の動きを想定したものです。

このように、ページが複数カラムで構成され、情報が隙間なく詰め込まれている場合、視線が行ったり来たりしてしまったり、想定と違う順序で読んでしまったりするはずです。

作る方としては、つい「あれもこれも」と盛り込んだり、ページ内の空白部分を何とか埋めようと必死になってしまいがちですが、ユーザーにとってそれは「ノイズ」になっていないでしょうか?

 

ちなみにこの辺りの話は、Webサイトの設計でも同じことが言えます。

Appleのサイトでも見られるように、最近はWebサイトのレイアウトを1カラムにして、1つ1つの要素を大きく、ユーザーを迷わせないようなシーケンシャルな見せ方も増えてきました。

 

ページをめくるのは気持ちがよい!

マミオンのテキストでは、前述のように1ページに載っている情報量が少なく、多くても1ページで2-3操作くらいです。そのため、どんなに初心者の方でも、結構調子よくペラペラとめくっていく様子が見られます。

また1冊のボリュームも30ページほどに抑えてあるので、どんなに遅い人でも、数時間あれば次の冊子に進むことができます。「先生、終わりました!次の章をください」と。

 

一方で、多くの市販テキストの場合はどうでしょうか。1ページにギッシリ内容を詰め込んでいると、人によっては1ページの内容を理解するのに30分以上かかってしまうことも…。その間、ずっと目の前の景色は変わらないことになります。

そして何時間も勉強したところでテキストを横から見ると、まだ全体の10分の1も終えていないのが発覚。「こんなにやったのに、まだこれしか進んでないのか…やっぱり私にはパソコンなんて無理なのね」と思ってしまうかもしれません。

 

ページをめくっていく爽快感、次の冊子に進んだという達成感。

「空白」をうまく取り込み、またそれに合った編成にすることによって、こうした効果も生み出すことができるのです。

 

人は、一度にひとつのことしかできないから

マミオンでは以前も、アイトラッキング調査を用いて、適切な情報伝達のためのコンテンツのレイアウト方法について考察したことがあります。

【参考記事】
アイトラッキングでわかった!あなたのWebサイトの「説明」がユーザーに伝わらない理由 | マミオン有限会社

当然ですが、人は一度にひとつのことしかできません。
一度にひとつの箇所しか見つめられません。

コンテンツを絞込み、優先度を考え、視線の移動をできるだけ1方向に制限することで、よりシンプルでわかりやすい、ユーザーを迷わせることのないデザインを考えることが可能になります。

またそのときには、「空白=無」ではなく、本来視線が向かうべきコンテンツへの「案内役」として、堂々と活躍してもらいましょう!