先日のWindows8についての記事、多くの方に読んでいただきました。

その中で最後に書いたこの一言。

もしかしたら、初心者向けマシンはAppleに市場を譲り、
Microsoftはギーク向けにと棲み分けを狙っているのかと勘ぐってしまうほどです。

マミオンが運営するパソカレッジも含め、多くのパソコン教室は「Windowsマシン」向けのコースが中心ですが、個人的には、パソコン初心者は"Mac"を買うといいのになと思っています。

今回はその理由を、パソコン教室の現場視点でまとめてみたいと思います。

 

Macは、生活を楽しむためのマシンである

こちらのツイートは、昨年スティーブ・ジョブズが亡くなったときに再放送されたNHKの番組を見て言葉を抜き出したものですが、このとき、「Macは普段の生活を楽しむために作られたマシン」なんだと再認識しました。

 

現在のパソコン教室では、主にWordでの文書作成や、Excelでの表計算のテキストが充実していますが、実際に習っているシニアの方に話を聞くと、「家ではWordは開かないわね~」と揃っておっしゃられます。

では何に使っているのかというと、

・デジカメで撮った写真や動画を見る
・ハガキ、年賀状の作成
・家族や友人とのメール
・ネットで簡単な調べもの
・iPodをつなぐ

くらいなんですよね。

 

そういう点で、Macでは評価の高い写真、動画編集ソフトの「iPhoto」「iMovie」が安価で手に入りますし、「Garageband」という音楽ソフトも有名です。

私も家ではMacを使っていますが、iPhotoで作るグリーティングカードやフォトアルバムのクオリティには驚かされますし、iMovieのテンプレートがとても素敵で、自分に編集センスがあるんじゃないかと錯覚するほどの作品が簡単に作れてしまいます。

画像参照:iPhotoでフォトブック 2007 - ブログ

特にシニア層の方は、空いた時間に旅行に出かけることが多いですから、デジカメの中には埋もれた写真や動画がいっぱい…。

Macの得意分野はOffice系よりもこちらの方なので、シニアとの相性はとてもよいはずです。

 

Macは、サードパーティー製の余計なソフトがプリインストールされていない

マミオンが運営するパソコン教室でも、「新しくパソコン買ったので、セットアップをしてもらえませんか?」と言って富士通FMV、東芝dynabook、ソニーVAIOあたりを持ち込まれる方が多いですが、実はこれをやる度に残念な気持ちになるんです。

というのも、さぁ電源を入れて立ち上げたと思ったら、「〇〇セキュリティ」やら「〇〇ユーザー登録」やら次々とウィンドウが立ち上がり、書いてある訳が分からず、×ボタンを押し続け…。

 

そしてやっと落ち着いたと思ったら、デスクトップには不格好なプリインストールソフトのアイコンや、バナー広告のような見苦しいガジェットがいくつも見られます。


画像参照:dynabook T551 - NVIDIA 3D Vision対応

「先生、このソフトは何ですか?これは?こっちは?」と順番に聞かれ、「あぁ、それは使わないので削除していいですね」「それ何でしょうね…」「広告なので無視していいです」と繰り返し答えるという不毛なやりとりが現場では毎回行われています。

せっかく新しいパソコンを買って、ワクワクしながら開いたのに、まず最初に目にするのが意味不明な言葉で埋め尽くされたダイアログで×ボタン連打とか、何に使うかわからないサードバーティー制のソフトの確認なんて、悲しくないですか?

 

また他にも、メーカー独自のランチャーやらくらくメニューの様なものが搭載されている場合もありますが、こちらも賛成できません。ほとんどの場合、Windowsの基本的なお作法と違っているのでユーザーを混乱させてしまいますし、突貫で作ったような粗悪なビジュアルデザインのものが多いです。

メニューを簡単にして「甘やかす」ことと、「使いやすい」とは違うと思っています。

 

一方でMacの方は、最初に立ち上げてから目にするのは、美しい壁紙のみ。


画像参照:Mac OS Lion 使用レビュー:冒険の書 〜おもしろい、と思えるものを探して〜:So-netブログ

 

さらに梱包や付属品も大きく違います。

Windowsマシンの方は、ほとんどが茶色いダンボールで届き、それを開けると、プリインストールされているソフトの説明書、登録ハガキ、キャンペーンのチラシなどであふれかえっており、初心者の人には何が何だか区別がつきません。

 

それに対してMacの方は、白くシンプルな化粧箱。
もちろん余計なキャンペーンチラシが入っている事などありません。

特に初めてパソコンに触れる方は、散らかった玄関ではなく、スッキリ綺麗に迎えてあげたいなと思うのです。

 

Macは、キー配列がわかりやすい

細かい話になりますが、WindowsとMacではキーボードにも違いがあります。

こちらがWindowsのJISキーボード。

この中で変換、切り替えに関するキーは、「無変換」「変換」「スペース」「カタカナ/ひらがな(/ローマ字)」「半角/全角(/漢字)」といろいろありすぎてカオスです。

教室の生徒さんを見ていると、勝手に「かな入力」に切り替わっていてお手上げ状態になっていたり、「カタカナ/ひらがな」キーを押してもカタカナにならない!と困っていたりということがよくあります…。

キーの種類が多いのに加え、書いてあるラベルと機能がリンクしていないんですね。

 

Macの方は、ご覧の通りです。

「英数」「スペース」「かな」と数も少なく、役割分担がはっきりしています。

 

また『半角/全角』という区別も、初心者には馴染みがないものです。
極端な話、全角のままでも数値やアルファベットが打ててしまい、切り替える必然性が感じられないので、全角半角混じりの読みにくい文書ができあがってしまいます。

教える際にも、
・言語バーを確認して、「あ」と「A」をこのキーで切り替えてください
というよりも、
・数字やアルファベットを打つ時は、「英数」を押してから始めてください
と教える方がシンプルですよね。

行動が習慣化できるという点で、後者の方がよいインタフェースと言えるでしょう。

 

カッコいい大人を増やしたい(見た目にも)

ここまでいろいろな面からMacをプッシュしてきましたが、ちょっと心配なのがサポート体制の手薄さや関連情報の少なさです。

大都市にお住まいの方であればAppleStoreに持って行けますが、それ以外だとなかなかトラブルに対応してくれるところはありませんし、世の中のパソコンに関するほとんどの情報はWindows向けですから、まわりに使える人がいないと不安かもしれません。

 

しかし上記のような心配は、全国のパソコン教室がMacの扱いをしっかりサポートできればクリアできると思っています。

 

身の周りのシニア層の方々が、中身も外見もゴテゴテした15インチのラップトップパソコンを捨てて、スタイリッシュなMacbookを外に持ち出して使うようになったら、なんだかちょっとワクワクする社会に見えませんか?

そして、そこで使われているサービスとは一体どんなものでしょうか?
こういう視点でシニア向けビジネスを考えてみるのもいいかなと思っています。

AppleStoreには学割がありますが、今後は『シニア割』もぜひ設けてほしいですね!

 

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