今回のデータは「平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」より、「災害に備えて取っている対策」についてである。
2011.3.11の震災以降、災害に備えて対策をとることの重要性を認識した人々は増えたはずである。しかしながら本調査の実施期間は平成22年11月4日~平成22年11月14日であるため、震災による影響は含まれていないことに注意されたい。今回はあくまで、属性ごとにどのような傾向が存在するのかを把握するに留めたい。
調査の対象者は60歳以上の男女である。

年齢階級別
年齢ごとに、各対策項目がなされている割合を示したグラフである。

60代を過ぎると各種項目の対策率が減少してくる様子が見える。それと同時に「特に何もしていない」の項目が上昇を始める。ただし「非常食や避難用品などの準備をしている」の対策率が低下するのは70代以降と比較的遅い。70代まで30%前後がキープされている。

「家族親族との連絡方法を決めている」は高齢になるほど対策率が下がる傾向になる反面、「家族親族以外で頼れる人との連絡方法を決めている」は80代から上昇しており、両者の差は縮まっている。緊急時の連絡は家族だけには限らない。距離的に近い親しい人が手助けできる場合とても頼もしいだろう。

健康状態別
健康状態によって対策状況に影響がどのように出るのかについてまとめた結果である。

健康状態が悪くなるにつれて、各種項目の対策率が減少していく。それにともなって、「特に何もしていない」が大きく上昇している。

家族形態別
家族形態によってはどのような変化があるのだろうか。

「夫婦二人の世帯」がわずかな差ではあるが、対策率が全体的に高い。下の世代と同居している場合、災害対策はそちらに任せきりになってしまうということなのだろうか。

また「単身世帯」では全体的に対策率は低いが、「家族親族以外で頼れる人との連絡方法を決めている」は例外で他の家族形態と比べて高くなっている。

都市規模別
最後に都市規模別の結果である。

まず都市規模が大きいほど概ねどの項目も対策率が高く、都市規模が小さくなるほど「特に何もしていない」が大きく上昇する。「地域の防災訓練などに参加している」は例外で、町村で最も対策率が高く、地域の結びつきの強さを感じさせる。
小都市では地域の防災訓練も含めて各種対策率が町村と同程度の低さである。町村のような地域の結びつきを失った一方で、大都市・中都市ほどの利便性も無いという難しい立ち位置だろう。

都市規模が大きくなるほど個人での災害対策はしやすくなるだろう。地域の情報は手に入り易く、また物品の調達も比較的楽である。しかし逆に考えると、都市規模が大きいほど個人での対策が重要ともいえる。地域の繋がりは希薄で、高齢者が家族と一緒に住んでいることも多くなく、また建物が密集しているがゆえに生じる危険な要素も多いだろう。

データ出典
平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果

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