団塊世代の大量定年退職期が始まったのが2007年。
それに合わせ、多くの企業が「アクティブシニア」をターゲットにした数々のシニア市場向け戦略を展開しました。
さて、2011年現在、アクティブシニア市場はどうなっているでしょうか。
当初の盛り上がりと比べそれほどの伸びを感じなかった、停滞気味である、
プロジェクトを立ち上げたものの撤退をした・・・という声も多く聞こえています。
私たちは1.顧客のニーズがつかめない 2.シニア世代向けをうたった商品やサービスが売れない という相談をよく受けます。
お話を聞くと、想像上のアクティブシニアのイメージが先行してしまっているケースや、"シニア特有のニーズがどこかにあるに違いない"と考え無理をしているケースが多いようです。
現実のシニアはあなたの考えているシニアとは違うかもしれません。
アクティブシニアとはどんな人なのでしょうか。若者とどう違うのでしょうか。
シニア層と若手のちがいはどこ?
「あなたは若いからいいね。元気があって未来があって」
「いやいや、いろいろ学ばせてください○○さん」
「そうか? 新しいことは若い人の方がよく知っているだろう。年をとるともの覚えが悪くなってねぇ」
シニアと若者で交わされるあたり障りのない会話です。
ここからわかるように、若手と比べてシニアが多く持っているものは<経験>。(それから<お金>もシニアが有り余るほど持っている・・・と思われてきました)
<時間><からだ(健康)>は若手に軍配が上がります。
シニアにとって、<経験>は決して減ることのない財産です。
若者にとって<経験>は、これから得ることのできる財産です。
一方で、<時間><からだ(健康)>は若者にとっては当たり前にあるものです。
シニアにとってはどうでしょうか。
これらは失うと取り戻すのが大変なイメージがあります。
そのため、時間や健康について、シニアは焦りの気持ちや、健康を維持していきたいという思いが若者よりも強くあります。
アクティブシニアはお金を持っている?
『シニア・シルバーはお金を持っている、それを消費してもらおう!』
身も蓋もありませんが、この考えがアクティブシニア市場への仕掛けが盛んに行われた大きな要因のひとつであることは間違いありません。
しかし、それほど大きな動きは見られず、「シニア向け商材を提供してもなんとなくシニアは財布が堅い」「決め手となるようなシニア特有のニーズがつかめない」という結論に達しているようです。
お金を増やす方法は、一般的には働くか投資するかしかありません。
このどちらも、シニアにとって難易度が高くなっています。
投資するためのお金はあるかもしれませんが、投資に重要な要素である<時間>は若い頃と比べ見劣りし、動きが制限されます。
シニアが性格的にケチであったり、将来を極端に不安がっているわけではありません。<時間>が少ないということは、お金を殖やすには不利であるという単純な理屈を忘れないようにしたいところです。
シニアに求められるサービスとは?
【シニア】という大雑把な括りで顧客を捉えると、たいていの場合ニーズをつかみきれず、事業は進展しません。
しかし、「旅行」や「健康食品」といったサービスがシニアからの人気が高いことは明白です。
シニアにとっての<健康>や<時間>について正確に読み解くことは、シニアの心を捉えられるサービスに繋がります。
シニアに旅行需要が高いのは、「定年退職で時間ができたから」だけではありません。
自分や家族が健康なうちに、世界を楽しんでおきたいという気持ちがあるからです。
また、若手がシニア向けサービスを考えるとどうしても「シニアが過去の経験を生かせるように」という思いがあふれがちです。
実際には、多くのアクティブシニアは未来を見て、限りある時間を大切にしたいと考えています。
■シニアの持つ不安感を払拭できるサービス
■現在から未来にかけての時間を大切にするサービス
こういった観点で考えると、アクティブシニアのためのサービスも視界が開けてくるのではないでしょうか。