高齢者の日常生活における家庭での役割

高齢者の家庭での役割を、状況別に詳しく見てみよう。

都市規模別
都市規模別では、グラフにばらつきは全くない。どのような場所にいても、高齢者の家庭での役割はさほど変わらないということだ。

男女別
男性と女性では家庭内の役割に大きな差が出る。女性は当然家事を担う人が多く、そして家事を担う割合はほかの役割に比べて圧倒的に多い。
他のグラフにおいて家事率が高いのは、この女性の家事率の高さが影響している。
男性は逆に家事を担う人の割合は小さく、「家族の相談相手」「支え手」「まとめ役」が多い。そして男女ともに、「特に役割がない」人のところにぽつんとピークがある。

年齢別・健康状態別の役割
年齢によっても、家庭内での役割には差が生じる。年齢が低いほど、家庭内で重要な役割を持つ割合が高くなる。
そして年齢が高いほどその割合は低くなり、また「特に役割はない」人のピークが高くなる。

高齢者の年齢と健康状態には相関があり、やはり健康状態別に見た家庭での役割も、年齢別の役割と同じようなグラフになっている。健康状態が良いほど重要な役割を持つ人が多く、良くないほど重要な役割を持つ人は減り「特に役割はない」のピークが大きくなる。

就業形態別
就業形態別では、グラフのばらつきが非常に大きくなった。これは男性の職業差が原因だろう。
また、女性における家事率の高さと、「パート」「内職」「仕事はしていない」人の家事率の高さとの一致から、高齢者女性はこれらの仕事が多いということも見ることができる。

それ以外の「農林漁業」「自営業」「シルバー人材センター業務請負」「常勤被雇用者」「会社役員」は男性が多く、その家事率は低いが、その反面「支え手」「まとめ役」などが大きく盛り上がっている。

そして特に役割はないのピークは、仕事はしていない人に多い。

月収別
就業形態では大きなばらつきがあったが、月収額ごとに整理してみると、きれいにまとまった結果になる。
家事率トップなのは月収額5万円~10万円の人で、家事率最下位は月収額が80万円以上の人であるが、意外にもその差は10ポイント程度しか違わない。

収入額が高い人ほど「相談相手」「支え手」「まとめ役」としての役割が大きくなり、「特に役割はない」が減る傾向にある。

同居形態別
全体を通して、小さな子供の世話や家族親族の世話・介護が役割である人はどれも10%前後と基本的に高くはなかった。
これは高齢者で親や孫と同居している人が少なく、多くは夫婦二人で暮らしていることによるだろう。この調査の回答数も、夫婦二人は1342人、本人と子は877人、本人と子と孫は566人、単身世帯は413人、本人と親は217人、となった。

同居形態別に家庭での役割を見たところ、本人と親の世帯であるば、本人が家族を支えるような役割(稼ぎ手、介護)が多くなった。

まとめ
高齢者の家庭での役割で最も大きいものは家事であり、主にそれは高齢女性の役割が家事にかなり集中するためである。
高齢男性は「相談相手」「支え手」「まとめ役」などの役割に分散する。
そして男女ともに「特に役割がない」人はどうしても一定数いる。
個人的には、家族のなかでも大事な・中心的な役割を担う高齢者が多くなればいい、そしてその役割が重すぎなければ、と感じた。

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データソース
平成21年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果
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