高齢者と交通事故以下のグラフは、警察庁統計資料によるものである。平成10年~20年の年齢層別・状態別の交通事故死亡者数の推移を示している。自転車乗用中と歩行中のグラフは同じような挙動を見せている。しかし、自動車に関しては様子が違っていた。自動車乗用中の事故について平成10年と比べて、平成20年の死亡者数は全体的に大幅に減少した。特に若年層の死亡事故が減少しているのは、人口の減少や車離れの進行が大きくかかわっているだろう。問題は高齢者である。75歳以上のみが死亡者数が増加し、平成20年ではこの10年間で最高値を記録した。また平成20年のみで比較すると、他のどの年代よりも死亡者数が多かった。高齢者の自動車乗用中死亡者数が増えた要因としては、高齢者人口が増加に伴い高齢者ドライバーが増加したことが一つの要因と考えられよう。高齢者ドライバー問題今まで普通に運転していた人もやがて年をとる。高齢化によって認知能力は大きく低下する。そうすると、迅速な判断とハンドル操作が要求される自動車の運転は、若いころに比べて難しくなるものだろう。しかし、だからといって簡単に運転を卒業できるというわけではない。そこには複合的な事情が内在している。たとえば、自動車への依存の大きさという問題。高齢でも車を運転せざるをえないような、車依存型社会は、地方でよく見られる。都心部では公共交通機関が充実しているため、自動車に代わる交通手段が十分にある。しかし地方ではそうはいかない。ちょっとスーパーに買い物に行くにも歩いて行くにはやや遠い、という状況が多い。そのようなときに自動車は頼れる存在である。また、若年層の都心部への流出によって、高齢者のみが残っている世帯も多いだろう。そうなると、高齢者が自分で運転しなければならないことになる。このように、地方での過疎化や少子高齢化といった問題も、高齢者ドライバー問題に多分にかかわっているといえるだろう。また、運転免許証は身分証明書として広く通用しており、簡単に身分を証明できるものとなっている。そのために手放したくないという人もおられるだろう。しかし実は警察では、免許を返納した高齢者に運転経歴証明書という公的身分証明書を発行することで、「卒業」を促している。乗車中の事故で死亡するケースもあれば、高齢者が交通事故の加害者となるケースもあるこの問題。高齢者ドライバーの増加が見込まれるこの先、さらなる対策を講じる必要があるだろう。交通安全白書のデータによると、運転免許の保有者は以下のように推移している。2010年には高齢者ドライバーは1400万人に上ると言われている。高齢者講習による効果にも限界がある。自身の運転技術や経験を過信しないように、高齢者ドライバーにこそ初心に戻ることが必要とされているはずだ。参考サイト:高齢者ドライバー問題は「今、そこにある危機」

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