弊社では現在、消費者行動をよりよく知るために
自主調査として「シニア100人ヒアリングマラソン」を行っている。

ヒアリング内容は、
最近買ったものについて、それをどうやって知ったのか、
どうして買おうと思ったのか
なにに影響を受けたのか、その商品を購入した情報源や比較検討したモノ
などなどである。

ネットで検索するのは難しい?

Kさん(60歳代女性)は、リビングにタブレットが置いてあり、
テレビを見ていて、なにか解らないことがあったらすぐに調べるという。

しかし、「インターネットはしてないのよ」と仰った。

よくよく伺うと
「パソコンで見るのはインターネットだけど、タブレットで見るのはタブレット」という独自理論があった。
「だからインターネットは1週間に1回くらいしかしない。タブレットは毎日見てるけど」

さらに、「検索するのが下手なの」と仰っていたので
最近、検索した内容を伺ったところ
「◆◆というテレビ番組に出ていた料理研究家の○○さんの料理教室」とのことだったが
テレビ番組の名前も、○○さんの名前も、そして、出していらっしゃる本のタイトルも全て覚え間違いをしていた。
それは、検索が出来ない筈である。

雑誌?読んでるよ。送られてくるから。

Wさん(70歳代男性)が最近購入したのは「旅行」。
その旅行はどうやって選びましたか?と聞くと
「雑誌読んでるからねえ。」よくよく伺うと、旅行会社から送られてくる冊子を雑誌と認識し、熟読している様子。

「かみさんが、行きたいと思ったところを折っておいてくれるんだよ。で、僕がその中から選ぶ。行った事があるところはいやだなーとか、ここテレビで見たから行きたいなーとか。最近は体力がなくなってきたから、あまり登らなくていいところとか選んでるよ。」

ちなみに、旅行番組と健康番組はほぼ全員見ている。

ネットで検索は日常的に行われている

「ネットで買っているし、ネットは毎日使っている」と回答したのはSさん(60歳代女性)。
「お友達からもらったジュースが美味しかったから、ネットで探して買ったの」
「色々検索して、もっと価格が安いところもあったのですが、信頼できそうな所で買ったし、リピートもしてる。」

インターネットも普通に使っている彼女だが、検索するものは「知っているもの」のみ。知らないものは検索できない、していない。

「いつもアマゾンで買っているから、この間もアマゾンで買った」と回答したのはTさん(70歳代女性)。
「チェストがほしくて、いろいろ展示会とか行ったのだけど、すごく高くてね。アマゾンで検索したら、サイズがぴったりだったし、2万円のが9000円だったのよ。思わず買っちゃった」

新しいものをはじめるのは基本的に受け身

「新しい習い事をどうやって探しましたか?」という質問に対しては
「通りがかりで」「新聞チラシで」という基本的に受け身の回答。

「最近、○○やってみたいのよねー」と仰ったTさん(70歳代女性)に
「それを始めようと思ったとき、どうやって探しました?」と投げかけてみた。

彼女はインターネットもバリバリ使いこなしているので
ネットで探しているかな?と思いきや
「広報にたまに出てるのよね。あとはチラシ。今度体験行ってみようと思うのだけど」

「インターネットでは探さないですか?」という質問に「うーん、あまり探そうと思わなかったわね」とのこと。新聞チラシ、強い。
しかし、新聞チラシなのか、ポスティングされたチラシなのかは区別がついていない模様だ。

「最近、カーブスに通い始めたのよ」というIさん(70歳代女性)は、新聞チラシで見て気になっていたところ、お友達に誘われて開始とのこと。
「毎月成果を測るのがいいわよね。がんばる気になる。でも、運動以上に食べちゃったりするから全然成果は上がらないんだけどね。うふふ」
がんばりが客観的に評価できるのはとても重要だ。

アンケートでは解らないことが多い

最初は質問紙に書いていただこうと思っていたのだが
「書く」ということは、ご自身の中で情報を整理していただいたうえで
表現をするという労力が必要なため、あまり有益な回答が出なかった。

○を付けるだけの質問も、問いかけることで、新たな発見につながる。
特にシニアになると、固有名詞を思い出せないことが多く
思い出せないものは書けないのでどうしても回答時に手が止まってしまう。

話しながらであれば思い出すこともできるので
「そういえば、こんなことがあったの」とエピソードを頂くことが出来る。
そのエピソードの中にはいろいろなヒントがある。

アンケートは数値として見えるので安心できるが、
会話するうちに、ご本人も意識していない困っていることなどに
気づくこともできる。
ご本人たちの会話を重視するのではなく、
会話から見られる「何か」に色々なヒントが隠されている。

数値や紙だけで人間を判断するのではなく、
是非、どんどんヒアリングを行って、リアルなシニアに近づくと、
シニア向けビジネスがもっと面白くなると思う。

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