マミオンでは、2013年8月中旬に、60歳以上のネットユーザー(N=100)を対象とした「インターネットショッピングに関する簡易調査」を行いました。
【調査概要】
・調査方法:ネットアンケート
・調査期間:2013年8月15日(1日間)
・調査対象:60歳以上の男女
・有効回答:100人(男性77人、女性23人)
今回はこちらの結果から、シニア層はネットショッピングのどこでつまづいているのか、意外な事実をご紹介したいと思います。
シニアの「6割」が途中であきらめた経験アリ
まずはネットショッピングにおいて、途中であきらめた経験の有無についてお伺いしました。
Q. あなたは、ご自身でネットを使ってお買い物をしようとした際に、途中であきらめてしまった経験はありますか?
このグラフのように、「途中であきらめたことがある」と回答した方は、なんと6割にも上ることがわかりました。今回のアンケート対象はネットリサーチのモニターなので、ITリテラシは比較的高めの方が多いはずなのですが、それでも半分以上の方が買い物を途中で断念せざるを得なかったようです。
シニアにとってのハードルは、「入力フォーム」のもっと前にある!
次に、ネットショッピングを「あきらめた理由」についてお伺いしました。
Q. あきらめた経験がある方は、以下のどの理由からですか?(複数回答)
このグラフからは、「探している商品が見つからない」「商品の情報が十分でない」「会員登録が嫌だった」というトップ3が、他の理由を大きく引き離しているのがわかります。
この結果、意外だと思いませんでしたか?
先日行ったECサイトオーナー向けのマーケティングセミナーでも、こちらの順位当てクイズをやっていただいたのですが、多くの方は「注文方法がわからない」「入力で失敗した」などが上位に入ってくるだろうと予想していたため、大変驚かれていました。
ちなみに「注文方法がわからない」「入力で失敗した」というカートや入力フォームまわりの回答は、どちらも7%と低い結果が出てきました。一見、「なんだ、入力フォームを改善しても大きな効果はないんだな」と考えてしまいがちですが、先ほどのトップ3の理由の高さを考慮すると、実はフォームまでたどり着けていない方も多いのかもしれません。
そのサイトは本当に信頼できるのか?
最後に、前問の理由について詳しい状況を説明してもらいました。
Q. 買うのをあきらめたとき、具体的にどういった状況でしたか?(自由記述)
商品が見つからない
・色々と探しているうちに迷ってしまった
・ボストンバッグに希望の色が無かった商品の情報が不十分
・嘘っぽい記述ばかりで信じるに十分な商品説明がなかった
・ちゃんとした商品が届くか?不安です会員登録が嫌だった
・1回しか利用しないであろうショップに会員登録をする気になれなかった
・登録するとメールが頻繁にくるようになるから希望する支払方法がなかった
・カードは信用できないので現金支払いができないのは駄目
・支払方法が代引き、コンビニ決済しかなくて購入を断念した
こちらの中で特に気になったのが、「不安」と「迷惑メール」という言葉です。
商品の情報が十分与えられていなければ、この商品が本当に自分の欲しいものなのかどうか、購入時にとても大きな不安を感じます。他にも、「ちゃんと商品が送られてくるのか」「クレジットカードを使うとトラブルになるのではないか」といった不安を挙げている方も多く、そのサイトの信頼感や実績などを強くアピールする重要性が浮き彫りになりました。
また会員登録が敬遠される大きな理由の一つが、「登録すると迷惑メールがたくさん来てしまうのではないか」というマイナスのイメージです。これについては、なぜ会員登録するべきなのか、メリットを丁寧に訴求する必要がありそうです。ただし、せっかく登録したとしても、IDやパスワードを失くしたり忘れてしまったりする場合も多いので、囲い込みの効果に過度な期待はしない方がよいでしょう。
ボトルネックとその理由を正確に把握して、効果的な対策をとろう!
マミオンでは、「最近シニアのお客さんが増えてきているから、まず入力フォームを使いやすくしたいんだよね!」といったようなご相談を多くいただきます。もちろんそういった部分の改善も重要なのですが、実際のシニアユーザーは、もっと前の段階からつまづいたり困ったりしているのではないでしょうか?前の段階でつまづいているのに、後の方ばかりを改善していても、大きな費用対効果は期待できません。
また買い物をあきらめた理由については、アクセスログを眺めているだけではなかなかわかりません。これを詳しく知るためには、今回のようなアンケート調査や、直接行動を観察するユーザーテストが非常に有効です。
ボトルネックはどこか?それがなぜ発生しているのか?
これらを正確に把握することは、シニアも問題なく使えるサイトに近づいていく「第一歩」です。ぜひ皆さんのサイトも、ユーザーの行動全体を意識することで、より効果的な改善を進めてください。