マミオンが保有しているアイトラッキングマシン、Tobii社の『T60』。

このブログでも何度かご紹介している通り、アイトラッキング分析では以下のようなデータをアウトプットとして用いるのが一般的です。

・視線データ付き動画
・ヒートマップ
・ゲイズプロット

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通常こうしたアウトプットは、定性的な分析に用いる場合が多いです。しかし一方で、下の図のようにページ上に分析対象とするエリアを指定する「AOI(Area of Interest)」と呼ばれる機能を使えば、より定量的な分析も行うことができます。

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今回は、このAOI分析で得られる主な指標をご紹介したいと思います。

 

First Fixation系

T60では、1秒間に60回の視点計測を行います。視点が一定の範囲内にとどまったと判断できたとき、それを「注視点(Fixation)」と呼びます。ゲイズプロット画像で言う1つの円がそれにあたります。

1つの注視点の一般的な長さは、読書などで200ミリ秒程度です。

Time to First Fixation

指定したエリアを最初に見るまでにかかった時間。途中で別のページに移動していた場合は、その時間を含まない。
tobii_TFF
この数値が小さいほど、目につきやすいデザインが施されていると言える。

Fixations Before

指定したエリアを見る前に、どれだけの数の注視点があったか。時間の長短は問わない。

First Fixation Duration

指定したエリアの最初の注視点の長さ。

 

Total Fixation系

Total Fixation Duration

指定したエリアにある注視点の全ての長さの合計。サッカード(注視点と注視点の間の素早い動き)の時間は含まない。
tobii_TFD
この数値が大きいほど、注目されたエリアだということがわかる。

Fixation Count

指定したエリアにある注視点の数。

Fixation Duration

指定したエリアにある注視点の長さの平均値。[Total Fixation Duration]/[Fixation Count]でも算出可能。

 

Visit系

Total Visit Duration

指定したエリアに滞在した最初の注視点開始から最後の注視点終了までの時間の合計。サッカード(注視点と注視点の間の素早い動き)の時間を含む。
tobii_TVD
この数値が大きいほど、注目されたエリアだということがわかる。

Visit Count

指定したエリアに滞在した回数。

Visit Duration

指定したエリアの滞在時間の平均値。[Total Visit Duration]/[Visit Count]でも算出可能。

Percentage Fixated

テストの全セッションのうち、指定したエリアを1回でも注視したセッションの割合。

この数値が高いほど、多くの人の目に留まるデザインであると言える。

 

Mouse Click系

Time to First Mouse Click

指定したエリアを最初にクリックするまでにかかった時間。途中で別のページに移動していた場合は、その時間を含まない。

Mouse Click Count

指定したエリア内をクリックした回数。

Percentage Clicked

テストの全セッションのうち、指定したエリアを1回でもクリックしたセッションの割合。

この数値が高いほど、多くの人がクリックするデザインであると言える。

 

複合系

Time from First Fixation to Next Mouse Click

指定したエリアの最初の注視点が開始してから、そのエリアをクリックするまでの時間。途中で別のページに移動していた場合は、その時間を含まない。

Time from First Fixation to Next Mouse Click (Across Media)

指定したエリアの最初の注視点が開始してから、そのエリアをクリックするまでの時間。途中で別のページに移動していた場合は、その時間を含む。

 

ランディングページの仮説検証にも有効!

先ほどAOIを設定したサイトで、Total Visit Durationを算出し、グラフにした例がこちらです。各エリアがどれだけ注目されていたのか、一目瞭然です。
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AOI分析は、問題発見というよりは仮説検証に適しています。

「このバナーは、ちゃんと見てもらえたのか?」
「どのくらいの時間、見られていたのか?」等々。

まずはユーザーがサイトを見たり使ったりする様子を観察し、そこで出た疑問や課題について、AOI分析でさらに検証するという使い方が適切です。数字で比較ができるので、説得材料としても適しています。

特に、縦に長いランディングページなどについては、各要素がどれだけ認識されたのか、アクセス解析だけではわからないことが多いので、こうした視線分析アプローチがとても有効であると言えます。

視線分析を含めたユーザーテストのコーディネートについては、ぜひご相談ください。

 

参考リンク

シニアを引きつける!購買意欲を高めるキャンペーンサイトの黄金パターン | マミオン有限会社

 

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