「こんな新しいサービスを考えているんですが、シニア層の方々にどうですかね?」
おかげさまでマミオンには、こうしたシニアビジネスについてのご相談を数多くいただいています。
ジャンルは様々ですが、そのほとんどが、「新しい商品」「新しいサービス」なので、必然的に私たちは毎日、「どうしたらシニア層の方々に『新しいサービス』を使ってもらえるんだろう?」と考え続けているわけです。
「新しいこと」に対する態度は、やはり若い人とシニア層では微妙に違います。シニア層の方々に対し、メリットばかり伝えても、なかなか腰を上げてくれないのです。
今回は、シニア層の方々が新しいサービスを使い始めるパターンについて、全てではありませんが、そのいくつかに着目して書いてみたいと思います。
今抱えている課題を解決するパターン
若い人が次々にガラケーからスマートフォンに機種変更している理由の一つには、「いまパソコンで使っているサービスを、モバイルでも使いたい!でもガラケーじゃ微妙だな…」という課題を解決できるからということが挙げられます。
一方でシニア層に対して、「ほら!スマートフォンって便利ですよ!いつでもどこでもインターネットに繋がりますよ!」と言っても、前述の課題を抱えていないのでなかなか響かないのです。
下の参考記事を見ると、シニア層に人気の健康食品『セサミン』『皇潤』『グルコサミン』などは、「こんな症状ありませんか?」と課題を提示し、その解決にはこの商品が役立ちます、という売り方をしていることがわかります。
シニア層が抱えている課題を適切に把握し、「この新しいサービスを使えばそれを解決できますよ!」と訴えるのは有効なアプローチ方法のひとつだと感じます。
友人知人に強引に誘われるパターン
若い人の場合は、FacebookやTwitterなどを介して「〇〇さんが△△を使い始めました!」「〇〇さんがあなたを誘っています!」などの招待コメントをよく目にするのではないでしょうか。
一方でシニア層の場合は、これと同じことがリアルの場やアナログの場で行われるのです。
これまでのインタビュー調査では、様々な習い事や活動をされている方にそれを始めたきっかけについてお話をうかがうと、「お友達に誘われて…」という回答が半数近くに上ります。最近急拡大している高齢女性向けフィットネスの『カーブス』や、ウォーキングやランニング、ダンスサークルなどの運動系がこのパターンに適しているように感じます。
画像参照:カーブス竹ノ塚店・武里店・越谷東口店・マルエツ一ノ割店
こうした場合、リアルの場で友達に紹介しやすいツール、例えば紹介用のチケットやチラシなどを用意するのがよいでしょう。名前だけ聞いても、すぐにネットで検索してチェックするという習慣は持っていない方が多いので、忘れてしまう恐れがあります。
長期間じわじわ刷り込みパターン
シニア層の方々は、テレビや新聞を通してニュースはチェックされており、そこで継続的に名前を聞くものに対しては興味を持たれる方が多いようです。
例えば最近では、『iPad』『Facebook』『Windows8』など。
画像参照:Elevated, An Urban Lifestyle Guide
特にここがパソコン教室という環境もあって、IT系の新しいサービスについては日ごろから興味を持たれている方が多いようです。教室で私たちスタッフがそれらを使っているのを見ると、「それって○○でしょ?」と声をかけられたりもします。
自社の商品やサービスをニュースに載せるのはなかなか難しいかもしれませんが、焦らず継続的に、長期のアプローチでイメージを刷り込んでいくことが大切です。
あの『らくらくホン』も、事業の立ち上げからすぐに売れ始めたわけではありません。シニア向け商品は、数年オーダーで考えた方がよさそうです。
【参考記事】
・NTTドコモの隠れた大ヒット商品! 「らくらくホン」シリーズの 偉大なるマンネリズムの裏側|週刊ダイヤモンド ITBizNews|ダイヤモンド・オンライン
子供から影響を受けるパターン
再びスマートフォンの例ですが、あるインタビュー調査で現在ガラケーを使っている方々に「いつスマートフォンに機種変更しますか?」とうかがったところ、「子供が替えたら私も替える」という回答を多くいただきました。
やはり、いざという時に教えてもらえないと困ってしまうからですね。
また先日、ある本屋に立ち寄った際には、『MacPeople』というパソコン情報誌に、『コンピューターおばあちゃんといっしょに学ぶ はじめてのiPad入門』という本の全面広告が入っているのを見つけました。これは完全に、親世代へのプレゼント需要を見込んでのものです。
画像参照:AppBank
上記のように、使い方に不安があるものについては、家族、特に子世帯を頼りにすることが多いので、そうした入り口からのアプローチも非常に有効だと思います。
ちなみに少し変わった例では、話題のお掃除ロボット『ルンバ』。
画像参照:Garbagenews.com
子世帯が使っていたものを親の家に貸したら、気に入り過ぎて返してもらえなくなった、などという話もお聞きしました。こうした商品は1度使ってもらえば良さがわかるのですが、なかなかその機会を作ることができません。そうした際の入り口としても、子供側からのアプローチが役立ちます。
メリットばかり伝えても、若い人と同じようにはいきません
今回は、シニア層の方が新しい商品やサービスを使い始めるパターンについて、そのうちのまず4つをご紹介しました。
・今抱えている課題を解決するパターン
・友人知人に強引に誘われるパターン
・長期間じわじわ刷り込みパターン
・子供から影響を受けるパターン
ちなみに、冒頭で触れた「シニア層の方々に対し、メリットばかり伝えても、なかなか腰を上げてくれない」という点については、以前も『金魚理論』としてブログにまとめています。
小さな金魚鉢にいる金魚に
「向こうの水槽の方が大きいよ!楽しいよ!」
「どうして、もっと広い視野を持たないんだ?」
「このままだと老け込むよ!」
「世の中にはもっと新しいものがあるよ!」
といっても、まず意味が解らない。伝わらない。
その言葉はすべてエネルギーと二酸化炭素の無駄である。年をとればとるほど、
今の金魚鉢のサイズが適正に感じているし
その外の大きな水槽にはどんな魚が泳いでいるかもわからないし
新しいところで、新しいふるまいを覚えるのはとてもストレスなのだ。
シニアビジネスを展開する際には、現場の声から抽出した上記のようなアプローチ方法を、ぜひ参考にしていただけたらと思います。さらに詳しいアドバイスが必要な方は、ご相談も承っておりますのでぜひご連絡ください。