とある72歳の女性が言う。
「私って若く見えるね、って言われるのよ」
「確かにお若く見えますよね~」
72歳にしては若い気がする。
60歳代と言っても通用する。
「でもね、この間映画館でシニア割引って言ったら
証明書見せなくても通ったのよ。
がっくりしちゃった」
ん!?さすがに、それは、しょうがないのではないか・・・という言葉を飲み込む。
非常に難しい話である。
ご自身は自分の年を認識している。
そして、若く見られる、と言われ、自分自身も若く見られると思っている。
だが、その「若さ」を他人が認めなかった場合、
解っちゃいるが、がっくりくるのだ。
私は同年代の人より若い
2005年頃に弊社で行ったアンケートによると
「同年代の人を見て、自分のほうが若いと思う」と回答したのは
50歳未満は4割だったのが、50歳以上になると「はい」と回答したのが8割、
どちらでもないと回答したのが2割弱、「いいえ」と回答したのが4%、
つまり、皆それぞれ、心の中で
「自分は同年代の人よりも若い」と思っている。
その横にいる人も思っている。
「この横にいる同年代っぽい人、私のほうが若いわね」
以下ループ。
アクティブシニアがシニア向け商品を嫌がる?
アクティブシニアにシニア向けといったらそっぽ向かれますよ、という。
そっぽを向かれるのではなくて、自分に対して言われているのだと気付かないのではないかと思う。目に入っても、敢えて、見ない。ああ、自分以外に向けて発信しているのね、と。
だから、嫌がっているのではなく、響かないだけなのだ。
シニア割のようにお得になる年齢の話題はちゃっかり活用しまくるのだから。
その「シニア向け」が自分も含まれたシニアなのか、自分以外のシニアのための商品なのか、それを自分の感性で判断し、必要か、不必要かを決める。
人は、見たいものしか目に入らない。
昔、道徳の授業で言われた。人には4つの自分がある。
一つは、全員知っている自分
一つは、自分しか知らない自分
一つは、他人しか知らない自分
一つは、誰も知らない自分。
それぞれの認識は少しずつ違う。
真中は、リアル自分。
左側は、自分が見ている自分。自分が思う自分自身。
右側は、他人が見ている自分。
本人のための商品ならば、「自分が見えている自分」にメッセージを届けなくてはいけない。自分が見えている自分のために商品を買うのだ。
だから、サービス提供者は、「シニア層が見ている自分自身」をターゲットにしなくてはいけない。