人間は忘却の生き物である。なぜかというと、忘却しないと情報量の多さに気が狂ってしまうからだ。人間は取捨選択の生き物である。情報を耳に入れるか、入れないか。それは経験則と「情報ホック」だ。(いずれ情報ホックについては解説)その経験則のルールができればできるほど、新しい情報は受け入れづらくなる。それが、シニア層が[新しい情報に対して受け入れづらくなる]原因だ。では、新しいものができたとき、いかにシニア層に受け入れてもらうか。その鍵は「○○らしさ」なのだ。「想像しやすいかどうか」というところにもあったが「懐かしさ」というのはシニアビジネスを考えるときのキーワードとなる。しかし、一方で「年を取ると新しいものに対して抵抗感が出る」というのが通説となっている。新しいものに対する拒否感、これは否めない事実である。シニア層は経験則によって「読んで役に立つもの」「読まなくてもいいもの」をかぎ分けることができる。しかし、新しいものに関しては「読んだほうがいいだろうなぁ」と思いつつ、読まなくても問題ないために情報を仕入れない。若いうちは、「新しいことに挑戦」と気負わなくてもできていたことが、年齢を重ねると「新しさに挑戦」しないと、自分を動かすことができなくなってくる。そして、「新しくて難しそうなこと」は避けて通れてしまうため、避けて通る。君子は危うきに近寄らず。である。しかし、世の中には「新しくて」「良い」サービスが日々生まれており「どうして解ってもらえないんだろう」と、担当者が悩む。どうすればこの新しさが伝えられるんだろう、と。新しいのを嫌がる理由は「ただ、新しい情報は疲れる」ためであり、「新しいものなんかなくたって、暮らしていける!」というシニアの経験則なのだ。パソコンが普及したときもそうだった。多くのヒトが「そんなのはなくても暮らしていける」と豪語していた。しかし、通信手段や新聞の代わり、という「昔ながら」のものとリンクすることによって普及に繋がった。つまり、その新しい商品を「○○のようなものである」といえるかどうか。「○○のようなものなんですけどね、××の点が、従来と違うんですよ」(もちろん、その××の部分で技術の名前を言ってはいけない。相手が解る言葉で、想像しやすいように言う)と伝えること。これだけでシニア層への浸透率はずいぶん変わってくる。シニア向けビジネス・商品は新しいものを既存のものに例え、さらに新しさをスパイス的に追求できるかどうかが新党するかどうかの鍵となる。「新しい」だけでは伝わらない。