12月に入り、パソコン教室は年賀状を作るシニアの方でにぎわっています。

メールやSNSの台頭で年々発行枚数が減っている年賀状ですが、ことシニア世代に限っては、皆さん創作意欲が旺盛で、毎年この時期だけ顔を見せて下さる方もいるほどです。

 

ちなみに、皆さんは毎年年賀状を出されていますか?

はがきは、シニア層にとってはまだまだ大切なコミュニケーションツールです。この機会に、世代間での利用の違いについて確認してみましょう。

 

年賀状発行枚数の推移

ここで、年賀状の発行枚数の推移を見てみましょう。


データ出所:のんびり生きる統計局ホームページ

今から60年前の1950年代の発行枚数は、およそ4億枚。人口当たりの発行枚数を計算してみると、50年代は4.8枚で、2010年の30.0枚と比べると、当初はそれほど大々的なイベントでもなかったことがわかります。

70年代に入って発行数がグッと上がるのと同時に、77年にはあの名機「プリントゴッコ」が発売されました。

90年代後半から2000年代前半にかけては、一般家庭にもパソコンとカラープリンタが普及し、デザインや宛名書きの負担が大幅に減りました。このあたりで、年賀状発行数は40億枚という大台に乗り、年賀状の黄金期を迎えます。

しかしその後は手軽な携帯メールの普及、さらにはmixi、Twitter、Facebook等のSNSの普及により、年賀状を書かないという人も増えました。2012年の年賀はがき発行枚数は、およそ36億枚と下降トレンドにあります。

 

年賀状を書かなくなったのは誰?

最近では、特に若い人の「年賀状離れ」が進んでいるようです。
こちらは、年代別の年賀状を出す予定がある人の割合を示すグラフです。


データ出所:リサーチバンク - 年賀状に関する調査

これを見ると、特に10代、20代で年賀状を出す人が極端に少ないのがわかります。この世代は年賀状を出すような年齢になったときに既にメールやSNSなどの手段があったため、「出さなくなった」のではなく、「出したことがない」人が多いのではないでしょうか。

また60代では、およそ8割の方が年賀状を出しています。また興味深いのは、年代が上がるほど、「喪中」の機会も増えるということです。

 

次に、「年賀状を出す人」は、いったいどのくらいの枚数を出しているのか見てみましょう。


データ出所: ウェザーニューズ - 年始調査

枚数が一番少ないのは20代です。10代はクラスメイトに出すのでしょうが、20代になると、散り散りになった友人の住所を聞いてまで出すのはなかなか難しくなるのかもしれません。

あとは年代が上がるほど人付き合いも広くなるため、やはり枚数が増加していきます。

 

アナログメディアを作成するためのデジタル機器

次にお見せするのは、年賀状のデザイン手段についての調査結果です。


データ出所:ヒアコン - 九州居住者の年賀状に関する調査

現在は、年代を問わず、パソコンでデザインを行うのが主流になっています。しかしよく見ると、『PC(既存デザイン)』などは年代が上がるほど好まれているようで、逆に意外にも20代の中に「手作り派」が多くなっているのがわかります。

ちなみに冒頭でも触れたとおり、シニア向けパソコン教室の繁忙期はこの12月で、感覚としては他月の2倍ほどの生徒さんが集まります。1年に1回のことなので、作り方を忘れてしまう方や、来年の干支の素材を探しにくる方も多いです。

またパソコンの購入動機でも「年賀状」ニーズは高く、既にシニア層には「年賀状=パソコンで作るもの」なんですね。はがきというアナログメディアを作るための、パソコンなんです。

また最近では、年賀状をオンラインで作成できるサービスも増えてきましたが、まだ今のところは教室でもそういったリクエストはなく、自宅のプリンタで印刷するのが主流のようです。

 

「住所録」を制するものがシニア市場を制す?

教室では、主にWordを使って年賀状を作られる方が多いのですが、皆さん思ったよりサクサクと作ってしまいます。その一方で、結構苦労されているのは「住所録」なんですね。

去年のデータをなくしてしまったとか、使うソフトを変えて読み込みができなくなったとか…。

あとはシニア層特有の、こんな作業も高頻度で発生したり。

 

最近では、iPhone、iPadでも年賀状の作成が簡単にできるアプリが出てきていますが、これらのほとんどが「裏面デザイン」のみの対応で、表面の宛て名印刷には対応していないのが現状です。

もらった年賀状をカメラで撮ったらすぐデータベース化できるような「年賀状マネジメントアプリ」が出たら、シニア層にとってかなりのキラーアプリになるのではないかと感じています。

 

ちなみに、以前別件でヒアリングさせていただいた方も、「私は京王デパートに住所録をあずけてあるから、お歳暮用は毎年そこで買っているのよ」と言われていました。

多くのシニア層のライフスタイルは、決してデジタルだけで完結しません。シニアビジネスを考える際には、生活内のこうした「アナログ↔デジタルの往来」に注目してみるとよいのではないでしょうか?

 

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