2015シニアビジネス

周知の通り、65歳以上の「高齢者」の総人口に占める割合は25.0%となり、人口、割合共に過去最高となった。

そして、2014年、団塊世代再就職の再定年退職が進み、多くの団塊世代が労働から離れた。
それに伴い、2015年はシニアビジネスが大きく変化していくと考える。
今回の記事では、団塊世代を中心としたシニアビジネスの2015年の展望について記してみよう。

まずは、現状を把握し、そこからキーワードについて解説をしていく。

■ 変わる生活様式

2014年の大きな変化として、団塊世代の再定年退職が落ち着いたことが挙げられる。
定年退職により、新しい生活環境で生活リズムが崩れたり、ライフスタイルががらりと変わる。この層のライフスタイルの変化に対応することが2015年のシニアビジネスのカギであると言える。

★女性
娘やメディアから情報を集め、新しいお店などを積極的に開拓していたが、
夫が定年退職により毎日家にいることにより、家から出づらさを感じるようになっているようだ。
(夫が家にいることで反対に家を家をより出るようになった!という方もいるが…)
そのため、60代前半の時のような新しいものが出てきたら飛びつく!という自由さは無くなってきている。

相変わらずおしゃれには気を抜かない。若く見えるための化粧品には投資を惜しまない。
孫はかわいいが、自分の自由も大切にしたいと考えている。

★男性
今までにない「自由な時間」を得ることにより色々なことができる喜びはあるものの
何かすることがすぐに出費につながり、かつ、収入が年金だけになると少し心細く感じ、外に出るのが億劫になってくる。
体は若いので外には出掛けたいが「年金暮らしだから」あまりお金を使いたくない。そのため、腰が重くなりはじめる。
孫ができたら孫中心の生活になる。

■ 情報源

★女性
情報源はお友達や娘、テレビの情報が中心。
口コミは主にアウトプットとして利用されるため、できれば新鮮な情報をいつも仕入れておきたいという気持ちがある。
孫が大きくなるにつれて、年を取ってきた娘からのトレンド情報が少なくなり、「新しいことについていけない」という気持ちが強くなる。

★男性
テレビ、新聞が中心になる。
BlogやSNSで発信(アウトプット)していると情報のアンテナは高くなるが、会社という自然にアウトプットしていた場所がなくなるため、インプットの量が自然に減ってくる。(インプットはアウトプットに比例する)
DM・カタログなど自宅に届く手紙はしっかりと目を通す。

■ 体

いくら「若い」とはいえ、60歳代も後半になると体力が少しずつ落ちていく。
体力が少しずつ落ちていくと、活動量が少しずつ減っていく。
運動をして体力をつけるか、何もせずにいる人との2極化になる。

72歳を過ぎたあたりから体力がかなり落ち、それに伴い気力も少し落ちるようなので
それまでに体力をつけておくか、やってみたいことを一通りやっておくことが必要だ。
(72までになにかはじめておくことができれば、72歳以降も比較的動くことができる)

また、老眼は70歳くらいまで進む。小さい・細かい文字を読むのがしんどくなり読み飛ばしが増える。

■ 趣味・嗜好

趣味・嗜好物の選択方法は大きく2パターンにわかれる。
1)異質を好むタイプ(例:若い人といる、知らないところに行く)
2)同質を好むタイプ(例:同じような人といる、知っているものを買う)

1)の人は、はつらつとしており、体力もあり、色々なところに出かけていくことができるため、消費も華やかである。が、「シニア」扱いをされそうなところにはいかない。できれば自分とは違う人から色々なことを吸収したいと思っている。
2)の人は、同じくらいの年の人と付き合い、できれば同性、知っている人がいるところから何かを始めようとする。人に合わせた消費行動が特徴。歴史の長いグループは新人を排除する雰囲気を醸し出してしまうために、同じような新しいグループができやすい。浮くことを避ける。

■ 2015年のシニアビジネスは「シニア層ストレスフリー!」

と、上記にわたり「現実」を描いてきたが、2015年のシニアビジネスのキーワードは「ストレスフリー!」なのではないかと思う。

ライフスタイルの変化により、今まで感じなかったり、慣れないことをしなくてはいけないストレスに直面する。
さらに、自分の意識している「若さ」へのずれも少しずつ感じるストレスも表面化してくる。
(本人はストレスとして意識していないことも多いが)

提供者はシニア層のストレス源になるものを気づき、対応することで、シニア層を「ストレスフリー」の状態を提供するのが2015年のシニアビジネスの核になるのではないかと思う。

たとえば
・年寄扱いがストレスシニア
「年老いた若者」である。年寄っぽいものを排除し、「年寄が集まるところにはいかない」と公言する。
だが、実際には体力的には年を取っているので、それがストレスにならないように対処する。
また、「周りの年寄と一緒」扱いされるのもストレスなので、若々しさを打ち出したシニアグッズを提供する。

・出費がストレスシニア
小さな金額で長く楽しめるような工夫ができる場所を提供する。

・解らないことがストレスシニア
年を取ると解らないこと、解決できないことがストレスになる。
解決方法を提供する。それも「やってほしい」のか「自分でできるようになりたいのか」もきちんと聞き出す。

その他「食事を作るのが面倒」「残すのが嫌だ」「勉強はしたいが新しい人と友達になりたくない」「異性のいる場所は行きたくない」「同じレベルの人と知り合いになりたい」「行きたい場所がない」「若い人がいる場所は嫌だ」「難しいことはしたくない」など、様々なストレスを抱えている。

その「誰か」が感じている「ストレス」をいち早く察して対応したビジネスがこれから5年間のシニア向けビジネスの肝になるかと思う。
そして、ここでシニア層がストレスを感じて、外に出るのが億劫になるのではなく
いきいきと外に出るようになれば、10年後の若者への負担が変わると思っている。

シニアビジネスでダメゼッタイのお約束

絶対ダメなのは「シニア」と一括りにすること。
大事なことなのでもう一度。「とにかくシニアをひとくくりにしちゃダメ。」ダメ絶対。

商品やサービスを出すときには、「買いそうな(かつ、そのサービスに見合った価値を認めてくれる)人」の顔を思い浮かべながら、その人のためにサービスを作ることが必要だ。

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補足: シニア向けビジネスで気を付けること

これは若い世代(30歳代くらいでもそうだが)とにかく、「自己申告を鵜呑みにしない」
これに尽きる。
自己申告を鵜呑みにすると、提案するものが実際には、対象者のハードルのはるか上であることが多々ある。
もし、サービスを受ける前になんらかの前提条件があるのであれば(例えばパソコンを使えるとか)本人のプライドを傷つけないよう判断する指標が必要である。また、自己申告に基づいて提供したサービスがハードルが高いと、新たなストレス源を提供しかねないので要注意だ。

ちなみに、昨年より、シニアのストレスフリーを意識していろいろやっているが、手ごたえを感じているので、ぜひとも皆さんにもトライしていただきたい。そして、一緒にいい未来につなげていきたいと考えている。

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