画像参照:Wikimedia Commons

東京都大田区大森にある『ダイシン百貨店』。

「高齢者に優しい百貨店」として、『モーニングサテライト』や『カンブリア宮殿』などのテレビでも取り上げられており、数年前から注目を集めているお店です。

いったいダイシン百貨店の何がすごいのか?ネット上でも多くの視察記事が公開されていますが、今回は自分の目で確かめるべく、とある週末に足を運んでみました。

 

「百貨店」というよりは「ホームセンター」

ダイシン百貨店は大森駅から歩いて10分ほど。地上5階建てで、商店街の一角をなしています。フロア構成は、1階が食品と雑貨、2階が衣料品、3階が家具家電、4階と5階が駐車場と飲食店が入っています。

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画像参照:ダイシン百貨店

こちらの写真は3階の家具家電フロアの様子です。

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現在のお店は2012年に改装が行われており、レトロな部分を一部残しつつも、比較的綺麗だなという印象を持ちました。またフロアがひと続きのため、百貨店というよりは大きなホームセンターのようで、かなり広く感じました。

今回は土曜日の午後に訪れましたが、その広さのせいか2階と3階は少しガランとした印象、1階の食品売場はかなり活気がありました。

またどれだけ高齢者であふれかえっているのかと期待して行ったのですが、普段パソコン教室で見慣れているせいか、それほど違和感を感じなかったというのが正直なところです。ただ普通のホームセンターと比べると、「平均年齢が高いな」という印象を持ちました。

 

若い人でも行きたくなる!穴場な飲食店たち

ダイシン百貨店には、いくつかの飲食店が併設されています。

こちらは2階のフロアの一角に突如現れる、落ち着いたカフェ『文士村 馬込茶房』。


画像参照:食べログ

改装したせいか、店内も明るく、非常に綺麗なお店です。自分が近所に住んでいたら、ここでゆっくり読書をしたいなと思うほど。

4階には、昔懐かしいタイプのファミリーレストランがあります。


画像参照:食べログ

5階には、足湯カフェ『カシュカシュカフェ』があります。


画像参照:食べログ

足湯に入りながら外を眺めてゆっくりできるというこのお店、なかなか他にないタイプですね。休日など、これだけを目当てに訪れてもいいかなと思いました。

 

ところどころに感じられるシニアへの配慮

引き続き店内を歩いていると、比較的通路幅が広いことに気付きます。

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おそらく車いすが通りやすくするためだと思いますが、実際に車いすを押しながら買い物に来ているお客さんも、この数時間で何組か見かけました。他のスーパーやホームセンターよりも多い印象です。

また掃除機売場に行くと、商品に「紙パック式」「サイクロン式」という札が貼られているのを見つけました。よく質問が出るのでしょうか?

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シニアを意識した特殊な商品カテゴリ

全フロアを一通り回ったところ、他のお店でなかなか見かけない商品カテゴリがいくつかありました。

まずは3階の「仏壇・供養もの」コーナー。

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真ん中のワゴンには、故人が好きだったものの形に見立てたローソクが並べられています。こういった市場があるのは知りませんでした。

1階のかなり奥の方には、「シニアカート」コーナーがありました。

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またその近くには「ステッキ」コーナー。品揃えが豊富です。

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さらにこちらは「介護靴」。周辺にはリハビリ・介護用品が多く置かれていました。

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東急ハンズを超える膨大な品揃え

先ほども紹介した「日曜大工用品」コーナーを見るとわかりますが、どの売場に行っても、品揃えの良さに驚かされます。

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ウェブ上の他の視察記事では「シニアが好む漬物や佃煮の品揃えが豊富」という報告をよく見かけるのですが、実際は漬物や佃煮だけではありません。

チーズ、ワイン、ヨーグルト、豆腐、スイーツなどなど、他のほとんどのカテゴリでもかなりの品種を揃えており、若い人が行っても十分便利で楽しいと感じました。

ちなみに実際のアイテム数で言うと、東急ハンズ渋谷店を超えるそうです。

ダイシン百貨店(経済経営考察社会)

アイテム数は18万点(なお、東急ハンズ渋谷店のアイテム数16万5,000点)。ペットフードは3,000種類。トイレットペーパーが50種類。ネズミ取り、ヤニ取りハミガキから年に4個しか売れない洗顔料「うぐいすの粉」まで、高齢者に向けて昔懐かしい商品も様々取り揃えています。

経済経営考察

 

価格はちょっと高め?

念のため、販売されている商品の価格を確認してみました。以下の価格は全て税込です。

ふとん掃除機『レイコップ(RS-300J-WH)』の場合

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定価30,650円
ダイシン30,651円
Amazon27,380円

ペットシーツ『デオシートワイド』の場合

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定価2,916円
ダイシン1,625円
楽天1,300円前後

ご覧のようにネット通販と比較してみると、買回り品や日用品については1-2割ほど高い価格がつけられているようですね。一方で食品系についてはそれほど他のスーパー等との差はないように感じました。

 

シニアに“配慮”はするが、“特化”はしない

今回、私がダイシン百貨店を訪れて一番強く感じたのは、「ここはシニアにとってのAmazonなのではないか」ということです。

若い人であれば、近くのお店にない商品は、ネットで注文して自宅に届けてもらうことができます。その一方で、ネットを自由に使いこなせないシニアはまだまだ大勢おり、ダイシン百貨店はそうした方々のロングテールの受け皿になっている印象です。

 

またそれと並行して、「“シニアへの配慮”が行き届いているが、決して“シニアに特化”しているわけではない」というスタンスにも注目です。

東急ハンズをしのぐ豊富な品揃え、のんびりと過ごせるカフェ、ほどよく空いている店内など、私自身も近所にあったら嬉しいお店だなと思いました。

実際、ダイシン百貨店自身としては、「半径500メートルの住民を100%顧客にする」というキャッチフレーズのもと、地域密着型百貨店を目指しているそうです。

おばあちゃんを魅惑する店~ダイシン百貨店(上):日経ビジネスオンライン

このサイトでもよくご紹介している「“シニア向け”より“シニア受け”」という法則。今回の見学を通して、小売業においてもこの法則が十分当てはまりそうだなと改めて感じることができました。

 

参考リンク

 

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