色々な方に
「シニア層って何困っているんですか?」
「高齢者の悩み事ってなんですか?」と聞かれる。

非常に返答に困る質問の一つである。

シニア層に直に聞いたら
「カタカナ用語が解らない」「パソコンの画面がころころ変わって覚えるのが辛い」とか
「身体がしんどい」「1日外出すると次の日は外出できない」とか
「太ってきた」「足腰がね」「母の介護がね」とか
「記憶力が低下している」「覚えられない」とか
「お嫁さんが(略」「息子が(略」「夫が(略」
など、いろいろと「今悩んでいること」「今困っていること」が出てくる。

それを解決するために何かしているかというと
できることは、やっているし、できないことはしていない。
以上、である。

困っていることを分けてみた

普段シニア層と(シニア層だけではなく)接していて、
もう少し工夫したら楽なのに!ということがある。

目の前で困っているちょっとしたことに
「困っている」というよりは「楽なやり方を解らない・想像つかない」ため
出来ないまま諦めていたり、
「困っていないし、今のままでいい」ということもある。
(新しいことを覚えるより、困ったままでも今の方がいい、という場合も多々ある)

私は職業柄(?)、色々な相談を受けている。
そのお困りごとの内容を分類してみたのが下記の図。
お困りごと

困っていることを自覚しているかどうか、解決方法を知っているかどうか

「ゴーヤの生育が悪い」
これは別に困ってもない。
困っているのだが、すぐに解決できる(解決手段をすぐに思いつく)ため
「困っている」という自覚は特にない。これは右上に当たる。

「旅行に行くのにお父さんの食事に困る」という相談。
自分ではどうすればいいのか解らないけども、たぶん、人に聞けば解決できそうだ。
同様に水回り云々なども、「誰かに聞けば、頼めば解決できる」これは左上に当たる。

以下のセリフはリフォームをし終わったIさん。左下の分類。
「そろそろね、家も修理しなくちゃいけないところがあったのだけど
その前に頼んだリフォーム会社さんがイマイチで、
どうしようかなと思っていたの」
困っていることは解っているが、誰に相談すればいいのか、
今困っていることをうまく表現できないために、どのように相談すればいいのか
解らないことがある。

彼女は、結局ご近所さんに話していたら
適切な人を紹介してもらい、懸念のリフォームは思ったよりも簡単にできたらしい。

左下のお困りごとの問題点は、
解決できなくても緊急に困ることでもなく、自分でも誰に相談すればいいか解らない。
しかし、心の中でモヤモヤすることなので、直接解決してくれる人ではない人に
相談しつつ、いつか解決してくれる人との巡り合いを待つしかない。
基本的には「解決待ち」である。

最も市場として化けやすいのは右下だ。
「困っていることを解っていない」

例えば、小型掃除機を導入したIさん。
「今まで掃除機なんてそういうもの(重い)だと思っていた」
「当たり前すぎて、それに対して困ってるなんて思ったことはない」

図では「困っていることを忘れちゃおう」となっているが
「困っている」という事実を意識せず、「そういうもんだ」と思うことがある。

代替手段があり、今出来ていることに対しては
「新しいこと・ものを導入して苦労するくらいなら困ってないし」となり
「困っている」ことを意識しない。
なので、ここの分野について「困っていますか?」と聞いても
「ん?別に、困ってないわよ?」となる。
しかし、隠れている困りごとを少し見せると
「解決方法があるのね!」と飛びつく。

シニア層特有のお困りごと?

「シニア層のお困りごと」について聞いてみると老化に関するものが多くなる。
・覚えられなくなった ・足腰が弱くなった ・目がかすむ 等々。

「年をとったら仕方ないわよね」と
「困りごとである」自覚がされない、解決を後回しにされる場合が多い。

「まあ、年だしね」と、今までやっていたことを回避することもある。
(年だから新しい機械は触らない等)

「お困りごと」は日常会話にあり!

シニア層のお困りごとを探している場合には、
シニア層に困っていることを直接聞くだけではなく
日々の観察から見つけることが重要だ。

先日、キングジムの社長の講演を聴く機会に恵まれたが、
ポメラ」は社内でも売れると思われていなかったが、たった一人の「これ絶対欲しい!」がヒット商品になったという。

顕在化されていないお困りごとにどうアプローチするか
それが、今後のシニアマーケティングのカギになりそうだ。

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