高齢者の生きがい
生きがいを感じる高齢者が増えるということはよいことである。
高齢者の生きがい対策は多くの自治体で行われており、社会全体で目指しているものである。

では、高齢者が生きがいを感じる条件とはどんなものだろうか。

65歳以上の高齢者を対象として行われた調査の結果から、それを読み解いていくことにしよう。

年齢が与える影響
まずはもっとも基本的な情報である「年齢」からチェックしていこう。

年齢が高くなるにつれて、生きがいを感じる人の割合は減っていく。そして特に85歳以上に入ると、クイッっと下がってしまう。
しかしグラフの傾き度合いはそれほどではない。

同居形態が与える影響
次に同居形態と生きがいの関係を見てみよう。
子供夫婦と一緒のほうがいいのか、はたまた夫婦二人が気楽でいいのか。

孫・子と同居>夫婦>親と同居≧子供と同居>単身
という序列になっていることがわかる。

単身だと寂しい、やはり夫婦で住むのが良い。しかしそこに自分の親や子供世帯との同居が入ると、ちょっとめんどくさいなあ、という様子だろうか。
そして孫と一緒の場合、生きがい度がまたぽんっと上がる。

しかしながら、単身がほかに比べてちょっと低いだけで、それ以外はだいたい80%前後が生きがいを感じる、という見方もできる。
また、年齢と同じように影響の大きさはそれほど大きいわけではない。

さて今見たのは同居形態と生きがい度合いの関係であるが、
家族との接触がどの程度影響するかのデータが次の図になる。

こうしてみると、接触する頻度が多ければ多いほど生きがいを感じている人は多くなり、
また、別居している子供がいるのに接触がない場合と、元から別居している子供がいないのでは、後者のほうが生きがいというのは大きいようだ。むしろ、別居している子供がいるのに接触がないと、生きがいが下がるといった方がいいだろう。

収入が与える影響
収入が多いということは、それだけさまざまな活動をできるエネルギーが高いということである。
そうすると予想通り、収入が高いほど生きがいを感じている人が多いという予想は妥当だろう。

また収入が高いということは、継続的に仕事をしていることも意味する。
つまり収入は金銭的な影響も持つし、それ以外にも「仕事をする」ということ自体が生きがいにも貢献するだろう。

さて、ここまで見てきたのは、基本的には予想通りの結果であったと言ってよい。

“仲間=エネルギー”
健康であることは、老後を楽しく生きるための大きなカギである。
健康であることはそれだけでエネルギーを生むからである。

健康状態がよい場合とよくない場合とでは、生きがいを感じる人の割合に50ポイントも差が生じている。
今まで出てきたグラフに比べてその生きがいへ与える影響というのはとても大きい。

さてこのグラフは面白いことに、次のグラフと結果がぴったり一致する。

これは、「親しい友人・仲間の有無別」の生きがいである。
グラフの概形・数値ともに前の健康状態別のものとほとんど同じである。

「健康であること」と「親しい仲間がいる」ということは、本質的には同じ影響を高齢者に与えているのだろうか。

健康の大きな意味は、それだけで湧いてくるエネルギーだ。
そうすると、仲間がいるということもそれだけでエネルギーなのである。

高齢者を特別扱いする必要なんてない
生きがいを感じられる高齢者というのは、

「年齢にはかかわりなく、健康で、ある程度の収入があって、友人がいて
すなわち活動的に過ごすことのできるだけのエネルギーがある」人である。

できれば家族とも多く接するほうがいい。でもあまり同居してるとお互いに良くないだろう。
自分を縛るものがそれほどなくて、そして自分が飛び出していけるだけのエネルギーがあるとき高齢者は生きがいを感じる。

これはなにもこれは高齢者に限ったことではない。
別に「高齢者の生きがい対策」なんて高齢者を特別扱いする必要なんてないじゃないのだろうか。

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データソース
平成21年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果
//www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h21/sougou/zentai/index.html
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