シニア層と求人・求職の現状

シニア層の求人の変化次のグラフは、職業安定業務統計、つまり公共職業安定所(ハローワーク)の統計から、年齢別の求人倍率の時系列変化を抽出したものである。シニア層として55歳以上の求人倍率の動向を、求人のピークである25~35歳と比較して表示している。※職業安定業務統計には求人情報誌等の求人情報や新卒採用は含まれていない。また、この求人倍率は就職機会積み上げ方式によって算出されている。求人倍率はこれまでの年間の動きとうって変わった。2007年7月頃から全体的な求人倍率は以前ほど伸びなくなった。しかしシニア層の求人倍率は上昇傾向に入っていた。シニア層の動向にだけ注目すると、求人が増加したといえる。しかし注目すべきは、2007年の後半からグラフのどの系列も重なるように収束していることである。これが意味するところは、シニア層を欲しがる求人が増加したということではない。年齢不問求人が増加したことで、形式上だけシニア層も対象に含めた求人が増加した、ということだろう。改正高齢者雇用安定法2004年12月から施行された改正高齢者雇用安定法により、企業が求人で年齢制限する場合には理由を明示する必要が生じた。このこともあり年齢不問求人は増加傾向で、2007年2月は50%が年齢不問となっていた。ただ、年齢不問求人が増えて、高齢者に対する求人が増加したとはいえ、企業側では年齢を制限したいのは当然だろう。いわばこの年齢不問求人は建て前である。次のグラフは実際の就職件数の推移である。シニア層の就職件数には、求人倍率で見られたような増加は見られない。法改正の効果はあまり出ていないといえる。とはいえ年齢不問求人に関しては、求人(企業・雇用者)側の理想とする年齢基準を満たしていなかろうと、応募した時点で断られることがなくなったのは確かである。このことを活かした求職活動を、各々が実践する必要があるだろう。ただし、応募した時点で断られなくなることは必ずしもいい影響をもたらさない。年齢不問求人に関しては、求人側は応募された時点で断ることが出来ないため、採用しないつもりでいても書類選考や面接を行う義務が生じてしまう。そのため、わざわざ採用するつもりがないのに書類選考や面接までする、という求人側・求職側双方にとっての時間のロスが生じることが考えられる。急を要する場合、ハローワークだけに頼らず別の方法で求職をするということも必要となりそうだ。その点で、インターネットを利用した求職は有効な代替手段である。しかし、インターネットを自在に操ることのできるシニアは、現時点では多いとはいえない。改正高齢者雇用安定法が高齢者の就職を促すきっかけになっておらず、ハローワークの代替手段を探さなければいけないという現状は皮肉なものである。高齢者の就職に有効な方法はないものか、模索を続ける必要があるだろう。ソース:職業安定業務統計